32 現実の壁 ページ34
赤「ええっと、ここが毛細血管だから…ってきゃあ!」
鼻の皮膚と粘膜付近には、キーゼルバッハ部位という毛細血管が網のように張り巡らされているところが存在する。
その毛細血管は、非常に細いため、最も出血しやすい場所と呼ばれ、ここが損傷すると、「鼻血」が起こる。
赤血球がいつものように酸素を運ぼうと毛細血管付近を通り過ぎようとしたその瞬間、その網が何かの拍子に傷ついて、足元がぐらつく。
体の中の逆流した血流に巻き込まれた赤血球は、あやうく体の外に投げ出されそうになっていた。
赤「ひぃぃい死ぬ死ぬ死ぬ〜!!!!だれかぁ〜!!!!」
そう叫ぶ赤血球の腕を、誰かが掴み、ひょいと持ち上げる。
持ち上げられた赤血球はそのまま床に投げ出され、ある程度血流の波が落ち着くと、大丈夫?と声をかけられた。
赤「だ、大丈夫です、あ、ありがとうござ……って4989番さん!?」
49「やっほー、ホントギリギリ。間に合ってよかったね」
赤血球が立ち上がると、そこには白血球の友人、4989番の姿があった。
いつもならスムーズにお礼が言えるはずなのに、この間のこともあってか、気まずく目を逸らした赤血球の肩を掴み、4989番は耳打ちする。
49「せっけっきゅ〜ちゃ〜〜ん?なんで目逸らすのかな〜〜?」
赤「え、ええええええとそれはですね…」
慌てふためく赤血球の必至さが面白くて、4989は咄嗟に笑い出した。怒ってないよと前置きをした上で、赤血球から手を離し、話を切り出す。
49「俺、Aちゃんに振られちゃったんでしょ?」
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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして!コメントありがとうございます!結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、!最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月5日 16時