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26 初恋:3 ページ28

『この子に手を出すな!!!!!!!』

体が小さいながらの特権。

私はその脱核したての赤血球の女の子の腕を、肺炎球菌たちが阻みそこねた隙間から引っ張り出し、早く逃げろと叫んで彼女を走らせた。

手元にある拳銃を何発かやつらに向かって発砲するが、B細胞にさえ分化していない私には、抗体を作る力はなく、決死の1発は不発弾で終わる。


「あれだけかっこつけておいてこのザマとは、笑えもしないな」


そう言った一体の肺炎球菌の言葉に、全くだと同調した周りの仲間たちが、一斉に私を嗤った。


悔しい、怖い、悔しい、怖い、怖い。


人を助けるヒーローになりたかったから、免疫細胞になりたかったのに、その夢さえ叶えられなくなってしまうのか。カタカタとみっともなく震えた肩で、何度も引き金をひいたが、やはり空砲が吐き出されるだけで、じわりと涙が目に滲む。

そんな私を笑っていた細菌たちは、一頻り笑うと、目に浮かんだ涙を手らしきもので拭き取り、その刃を私に向けた。

「散々笑わせてくれてありがとな」


「俺もう腹減った、さっさと栄養素奪いに行こうぜ」


「早くこの餓鬼やっちまおう」

そう言って、肺炎球菌たちは私目掛けてその刃を振り下ろそうとその手を掲げた。

もう終わりだ。


そう思った。
なるべく痛くない方がいい。痛いものは怖いのだ。

ぎゅうと目をつぶり、来るべく痛みに備える。

しかし、刃が私に振りかかるか振りかからないかの刹那、刃先と刃先がぶつかったような、大きな金属音がした。

瞑っていた目を見開くと、そこには1人、私と同じ、リンパ芽球の男の子が背を向けて立っていた。


「さいきんはぜんいんぶっころす!!」

威勢よくそう叫んだ男の子は、刃を立てて、肺炎球菌たちを睨みつけてそう叫んだ。

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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして!コメントありがとうございます!結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、!最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月5日 16時

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