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25 初恋:2 ページ27

好きな人。

元気で、明るくて、そして、いざという時に私を庇ってくれた人。









リンパ球は、それぞれB細胞になるべくは骨髄、T細胞になるべくは胸腺へ送られ、それぞれ別に訓練を受けることになっていた。

同じ骨髄にいた他の好中球達とは、何度か手合わせをしたくらいで、特に目立った関わりを持ったことが無かったように思える。

まだ幼く、骨髄に住んでいた時の私はかなり鈍臭くて、よく転んでは泣く子供だった。


「おせーなーほんと!おいてっちまうぞ!」

「そんなんじゃかっこいい白血球になれないよ」


仲間のリンパ球達にそう言われ、挫折しそうになる日も少なくなかった。

痛いものは痛い。痛いものは怖いから。

と、癇癪を起こしながらも、我ながら根は真面目であったから、一日たりとも鍛錬を怠った日はなかった。


そんなある日、私が手に豆ができるほどの鍛錬を終えると、何やら脾臓あたりで細菌が暴れていると大騒ぎになったリンパ芽球の仲間たちが、一斉にごった返した出来事があった。

脾臓の内部には沢山のリンパ球が存在しており、そこを襲うということは、今思えばかなり頭の回転が早い細胞だったのだろう。

しかし、その時の私は良くも悪くも勇ましい性格をしていたから、私がみんなを守るなどと言って支給品の拳銃を持ち出し、ごった返す人並みに抗うように脾臓へ向かった。


今になっても何度見たことか。
駆けつけた脾臓の傍には、沢山の肺炎球菌たちが(たむろ)していた。

1度だって戦ったことがない私になんの自信があったのか、そこで私はすぐ後悔したように思う。



私は、ここ(骨髄)にいる免疫細胞の中でも、無差別攻撃が不可能な出来損ないの細胞だったと。



そう自覚した時には、自分の無力さ、今までの努力の無駄を痛感して、気づけば膝から崩れ落ちていた。


だが、私に出来ることは何も無いわけではなかった。逃げ遅れた脱核直後と思われる赤血球の女の子が、肺炎球菌に囲まれて怯えていたのだ。


『っ……!』


どうしたらいい。彼女を助けたいが、自分では戦うことが出来ない。最悪私も死んでしまう。ならば、このまま私が逃げた方が、まだ数的に合理的ではなかろうか。

そう考えて立ち上がり、私は走った。


『やめろ!!!!!!!!!!』


勇気をだして、駆け出したのだ。

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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして!コメントありがとうございます!結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、!最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月5日 16時

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