19 有限な幸せ ページ21
こちらの方が罰ゲームなのではないか。
好中球に、あれから何度も色々な場所へと連れ回された。特に目新しいデートスポットがある訳でもない体の中なのに、よく飽きないなと感心したほどである。
流石にほぼ毎日連れ回されると、体力にも限界がくる。
そもそもあいつは、体力の上限とやらを分かっているのだろうか、と一瞬不安になったが、10時間もすれば自動的に寝てしまう彼の性質を考えれば、不毛な杞憂かと胸をなでおろした。
というのも、白血球の性質上、10時間もすれば彼らは自然とその働きを維持できなくなる。
いわば、過度な負担を減らすためのブレーキのようなものだ。
そのため、急に倒れたり、眠ったりするのだが、まさかデート中に爆睡するとは思わなかった。
公園で待ち合わせをしていた時も、急に抱きついてきたと思ったら、小さく寝息が聞こえたのもいい思い出である。
顔を赤くして、あれやこれやと自分に言い訳をしていた私が馬鹿みたいじゃないかとその日は怒ってしまったが、それ以来、彼が自分の体に無理をさせてまで私をデートに誘うことはなくなった。
いい心掛けである。
しかし、なぜそんな無理をするのかと聞けば、
49「だってAちゃんに会いたいんだもん」
と返してくるあいつは、多分生粋の天然タラシだった。
ちょっと嬉しくなってしまって、強く反論できなかった私も、かなりおかしかったと思う。
生まれた時から骨髄にいた私に、体中を案内してくれた彼とのデートは、日々新鮮で、目を見張るものも多かった。
また明日ねと私の手の甲に口付けすることだけは、何度されても全く慣れなかったが、正直、気乗りしていなかった頃の自分が嘘のように思えるほど、彼とのデートは楽しかった。
そう、あんな言葉をかけられる前までは。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして！コメントありがとうございます！結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです！ (2021年6月5日 1時) (
レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、！最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです！素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まみむのめ | 作成日時：2021年3月5日 16時
