17 絆し上手 ページ19
『それがこれと』
49「きゃは♡」
『きゃはじゃないが』
罰ゲームと言っても、たかが子供だましの嫌がらせ程度のものしか用意していないだろう、と思っていたら、突然、4989が私に正座をするようにと言ってきたものだから、まさか土下座の強要でもされているのかと一瞬疑った。
おずおずと私が膝を折り、その場に座り込むと、彼は「よし!」と満足気に鼻を鳴らし、そのまま自分の体を折りたたんで私の膝にその頭を乗せる。
素足には些かくすぐったいような、しかし猫でも抱いているかのような感覚が走り、慣れるのにしばらくの時間を有した。
しかし、結局のところ、感じるのは少しのくすぐったさと少しの足のしびれだけで、肝心の罰は何なのだろうかと疑問に思ったところで、冒頭の問答に戻る。
49「はぁ〜〜……やべ〜癒される〜…」
『1歩間違えれば立派なセクハラなんですけど』
49「きゃ〜やめて〜訴えないで〜」
たははと彼が笑う度に、揺れるふわふわとした前髪に指を通し、流れるように頭を撫でた。
大きな子供をあやしているような感覚がして、懐かしいような、寂しいような、形容しがたい感覚に襲われる。
しかし、だからといって不思議なことに気分が悪くなることはなかった。
もちろん、自分の中で消化しきれない感情が燻ったまま、心の容量を埋め続けていることは、とても気持ちの悪いことではあるが、それはまた別の話である。
49「Aちゃん?なに、また難しい考え事でもしてた?」
そう尋ねた4989は腕を伸ばし、私の目元に優しく触れた。あの時と同じように、優しく、まるで壊れ物を扱うように流れる指に、自然と瞼が落ちていく。
ここまで心が穏やかになったのは、あの赤血球と出会ったあの日を除いて、いつぶりだっただろうか。
あの好中球相手にここまで心を許せるようになってしまった自分の刃こぼれさに呆れ、しかし、以前の自分なら、きっと今の自分を羨ましがっていたに違いなかった。
『本当に君は…なんていうか、絆し上手だよね』
そう告げられた4989の顔は、いつにも増して嬉しそうな笑みを浮かべていた。
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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして!コメントありがとうございます!結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、!最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月5日 16時