16 罰ゲーム ページ18
『あ〜……、いや、断るべきだったな』
あれから38と別れて、骨髄付近のパトロールを行っていた最中に、ふとそんなことを思った。
そもそも、私はそこまで好中球を好ましく思っていない。
ただなんとなく、彼だったら別にいいな、と、心のどこかでふわふわとそう思っただけなのだ。
しかし、きっと今頃、38は私の為にあちらこちらを走り回っていることだろう、その努力を捨て置くわけにもいかず、漠然と困り果てた。
『針千本飲んでもいいから、………会わない方が、いいな』
そう呟いて、自分の喉元をさする。
あんな約束、あちらが覚えていなきゃいいのに、と叶うことの無い願いを請いながら、つなぎの袖を捲りあげた。
49「そんなことしちゃ、本当に飲んでもらうよ?」
ぽんぽん、と肩を叩かれ、後ろからそう声をかけられる。驚いて振り返れば、あの青年が不満そうな顔をして、私の後ろで仁王立ちしていた。
独り言のつもりだったのだが、やはりこの細胞、耳がいいらしい。全てまるっと聞かれていたらしく、彼は俯き、はぁと大きなため息を吐いた。
と、思えば、彼は両手で私の頬を掴んで引っ張り、顔を上げて大きく叫ぶ。
49「俺が!どんだけ!楽しみにしてたと思ってんの!」
『ご、ごえん…?』
49「ゆーるーしーまーせーん!罰として俺が考えた罰ゲーム受けてもらうからね!」
今にも泣き出しそうな好中球に、一応の謝罪の言葉を述べはしたものの、それでもなお未だに不満そうな顔を解かない彼に根負けして、彼の提案した罰ゲームとやらを受ける羽目になった。
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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして!コメントありがとうございます!結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、!最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月5日 16時