14 その後 ページ16
赤「えへへ、それでですね、プラズマ細胞さん!」
あれ以来、あの赤血球は、ぴょこんと飛び出たアホ毛を揺らして、ちょくちょく私を見つけては飛び出して来るようになった。
嬉しいと言えば嬉しいのだが、些かどこでもそんなものだから、恥ずかしいという気持ちの方が勝ることもある。
『名前』
赤「はい?」
『プラズマ細胞じゃなくて、「A番」って呼んで欲しいんですけど…』
照れ隠しに笑って頬をかき、そう零した私の手を取って、赤血球は満面の笑みをうかべた。
もう嬉しくて堪らないとでも言いたげなその顔に、いい意味でまた気圧される。
赤「わかりました!Aさんっ!」
『う、うん、よろしくね、えっと』
赤「3803です!」
『さ、3803…38ちゃん』
赤「はいっ!」
まただ。この子はきっと隠し事ができないタイプなのだろう、飛び出たアホ毛がこれでもかと言うほどぴょこぴょこと嬉しさを表すように大きく動いている。
あまりのわかりやすさに吹き出してしまった私を、不思議そうに見つめる38に、ごめんと言葉だけの謝罪をした。
赤「そうだ、ちょっと気になってたんですけど、Aさんの抗体ってどうして一種類だけなんですか?」
『あぁ、その話、詳しく説明してませんでしたか。あの時の細菌がインフルエンザ菌だったってことは、たしか言いましたよね』
赤「はい!それは理解したんですけど…」
『なら丁度いい』
そう言って私は徐に懐からあの拳銃を取り出すと、その銃口を自分の顬に当てて、引き金を引く。劈くような銃声と、「えっ」という小さな感嘆符が上がり、私はそのままゆっくりと目を閉じた。
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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして!コメントありがとうございます!結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、!最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月5日 16時