傍迷惑な居候*゜☆ ２ (ページ10)

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手の届かない人ページ10

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教室に戻る途中、ふと通りかかった廊下の窓を覗いてみると

グラウンドの様子が目に飛び込んできて。

体育の授業を終えた2年生が次々と校舎へ向かっている中に、

一際目立つ人を発見する。

「櫻井先輩……」
　

タオルを持った女の子たちに囲まれて、

爽やかな笑顔を振りまく姿はまさに王子様そのもの。

彼に胸をときめかせる女の子たちはみーんな、

可愛くて、お洒落で。

…少しでも好かれようって頑張ってるのが分かる。

………私は？

櫻井先輩のことが好き？

違う。

確かに好きだけど、あの子たちやレミちゃんの好きとは……たぶん違う。

そしてそんな私が曖昧な気持ちで一緒にいること自体、

彼女たちにしてみれば許せないことなんだ…。

放課後に過ごした時間が夢のように、

今は櫻井先輩がすごく遠い世界の人に感じていた。

「ぇ………？」

それまで輪の中心で楽しそうに話をしていたはずなのに

突然、顔を上げた櫻井先輩が驚いたように目を丸くしてこちらを見る。

次の瞬間、

私だけに向けられたキラキラの笑顔と

バイバイってするように小さく振られた手。

まさか……ね。

それにどう応えたらいいのか分らなくて、

黙って俯いたまま足早に窓から離れた。
　

彼が今まで私に良くしてくれてたのは、ただの気まぐれだって。

　

手の届くような人じゃないって……

ちゃんと分かってるんだから。

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