傍迷惑な居候*゜☆ ２ (ページ13)

今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:159,308 hit

If ページ13

.

沈みかけた夕日に照らされて、

淡いオレンジ色に染まった帰り道はいつもよりずっと輝いて見える。

結局、あんなに優しい目をした先輩を断ることなんて出来なくて。

…なぜか櫻井先輩を前にすると、言おうと思って用意してた言葉さえ

どうやって伝えたらいいのか分からなくなってしまうんだ。

翔「マフラー、新しくしたの？」

「これは…サンタさんにもらって」

翔「さっすがサンタさんチョイス。ちょー似合ってる(笑)」

せっかく先輩が気を遣って私にたくさん話を振ってくれてるのに、

素っ気ない返事しか出てこなくて。

…こんな自分がますます嫌になる。

「先輩はどうして…。そんなに私に優しくしてくれるんですか？」

翔「……優しく？してる？俺」

「だって……帰りも遠回りになるのに、わざわざこうして送ってくれたり…」

翔「……それは優しさなんかじゃないよ」

「え……？」

翔「優しさなんかじゃ、ない…」

強く言い切った先輩の目は、見たこともないくらい冷ややかで。

ゾッとするような影を宿す。

翔「…俺がしたいからしてるだけ。Aちゃんは嫌、だった？」

「………。」

そんな顔で聞かれて…

はい、なんて

答えられる女の子いるわけない…。

でも、もし。

もし私がそう答えたなら…＿＿＿＿＿

櫻井先輩はどうするんだろう？

彼の優しさに触れる度に辛くて、苦しくなるのは本当。

それがレミちゃんたちへの罪悪感からなのか

先輩に何も返せていない自分への劣等感からなのかは…

分からないけれど。

返す言葉も見つからないまま、

先輩と微妙な距離を保ちながら歩き続けていると…

いつの間にか見慣れた家が見えてきて。

　

「…私、もうここで大丈夫なんで」

逃げるように櫻井先輩に背を向けて

別れを告げようとした…

とき

翔「…待って」

ぐっ…と強く掴まれた手首。

振り返った先には、息を呑むほど悲しい顔をした先輩がいた。

.