【文スト】きみも悪い人でよかった 第二章【中島敦】

四十一 ページ15

さっきまで花火を見ていた大勢の人々は、帰るべき所に帰るため、徐々に散って行く


夜空は、先程まで大輪の花が咲いていたのが嘘のように、星々が輝いていた


そして、夏祭り&花火大会を満喫した私と敦君も、旅館へ帰るため、先程合流した皆と夜道を楽しく話をしながら歩いていた


しかし、あの輝く花火を見た後に何故か心にぽっかりと穴が空く感じ…


…とても悲しい気持ち、これは何だろう


ただ独り思いを巡らしていると、叢の方、微かにガサッと小さな音がした


何だろう？とその方に足を向ける、すると先程の音をならした小さな犯人がいた

そして敦君が


「どうしたの？」


と云ったので、私はそいつを拾い上げて敦君の目の前に差し出した


『敦君見て！』


「！…」


敦君はそいつを見ると固まってしまった

あれ、駄目だったかな？と心配する間もなく

敦君は直ぐに笑顔になった


「子犬…！可愛いね」


敦君は、子犬の頭を優しく撫でる

子犬は撫でられた事が嬉しかったのか、元気良く尻尾を振った


そして、敦君が子犬を抱き上げようとした瞬間、子犬はするりと間を抜けて走り出してしまった


「わわっ、ちょっと待って」


追いかける敦君について、私も追いかける


子犬は皆がいる方へ向かって走って行き、国木田さんや谷崎さんの足の間を上手く通り抜けていく


『あ、太宰さん！捕まえて下さい！』


子犬が太宰さんの方に向かったので私はそう云ったが


「げっ、犬！？」


太宰さんは驚いて避けてしまった


しかし、子犬は元気に走り続ける

そして、子犬が細い道を左に曲がった……が私達はそこで見失ってしまった


『何処に行ったんだろう』


「ねぇ、Aちゃん見て」


私は敦君が指差した方を見る


私と敦君の瞳の中に飛び込んできたものは


月や星々が明るく海を照らしていながら、海も真っ暗な宇宙を揺らぎ写し、砂浜は白く輝いている

そんな光景だった

四十二→←四十

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す