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風が止んで、目を開けた時には─────
『……』
｢はぁッ…、…心臓マジで持たねぇ｣
能天気に寝てるAが腕の中にいた。呼吸も顔色も悪くないし、とりあえず無事に安心して抱き締める。安心感で力が抜けて、しゃがみ込んだ、手が震えてる、あぁ生きてる、俺の腕の中にいる
｢とりあえず医務室だ、いくら寝てるだけってアイツが言っても信用ならねぇ。行くぞ｣
｢あぁ…｣
｢ねぇ待って！！桐生刑事の手首にあるのって、｣
コナンのその言葉でAの左手首を確認すると、腕時計のベルトにトランプが挟まっている。
引き抜いて裏をめくると────
〜Let us, then, be up and doing, with a heart for any fate.
〜それでは、立ちあがり、行動しよう。
いかなる運命のもとでも、精いっぱいに。
ヘンリー・ワーズワース・ロングフェローの名言と、キッドマーク…
何故これをキッドが渡したのか…、でもきっとAが知ってるんだろうな。Aはいつも、俺らよりもずっと二歩先、三歩先を行くから…
手の中にあるキッドカードを恨めしく見ると、後ろから二課の刑事が声をかけてきた。
｢萩原隊員……それをこちらに。一応、重要な証拠品なので｣
｢……あぁ、言われなくても渡すよ｣
｢いや、お前手ェ見てみろ｣
｢へ？……あっ、｣
……握りしめてクッシャクシャになったキッドカードが、手にあった。
また脳裏にアイツの胡散臭い顔が浮かんで─────
グシャッ
｢……あんにゃろ、次会ったら絞め殺す｣
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作者名：はしゅら | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=hassyu
作成日時：2023年12月30日 21時
