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You side
ようやく決まった服と髪とメイク、そしてアクセサリーなどなど…。これからキッドが来るって言うのにヘトヘトになった
「桐生刑事本当に綺麗です…」
「こんな美人を嫁にとれる萩原隊員が羨ましいわ」
『……(放心)』
結局私は鏡を見ないまま部屋を放り出されたので、今は自分の服と髪型(前に流しているところだけ)しか見えていない。え、ちなみに今これどこに向かってんの?さっき居た控え室通り過ぎたけど
って不思議に思っても声を上げる元気もないのでボーッとついて行ってとある部屋の前
「桐生刑事、開けますよ!!」
『え、なに始まるの』
質問の答えが聞こえないまま開けられた扉、音に反応したのか中にいた人がゆっくりと振り返る。
ほんの一瞬、息が止まった。
─────私を見つけて柔らかく微笑む彼に目を奪われたから
いつもの甘いフェイスは、服装も相まってか少しスッキリと見えて、暗い色合いのスーツと中に着たグレーのシャツが大人の色気とやらを出していた。1つ開かれたボタンの間から覗く銀色のチェーンが、やけに輝いている。
1歩、向こうが脚を出すと私も惹かれるように脚を踏み出す。
ゆっくりと歩を進めてあと一歩で額がくっついてしまうんじゃないかと思うような至近距離になり、初めて彼の赤く染った顔がハッキリ見えた。
「……キレイ」
『研二もね、似合ってるよ』
目を見て本心を伝えると、いきなり前に腕を引かれる。硬い胸板が目の前に来て、後ろに回される腕の温かさにホッとした。……後ろで蘭ちゃんと園子ちゃんが悲鳴上げてるのは聞こえないふり
「本当大好き、愛してる」
『私も愛してるよ、ほら顔見せて』
私の声で少し緩んだ腕の中で軽く体を動かして、上をむく。やけに弱気な顔が見えて、それがなんだか子犬みたいで笑ってしまった。
『…研二』
一言、名前を呼んで頬に手を添え視線を絡ませる。
バイオレットがかった瞳に吸い込まれる前に、目を閉じて軽い口付けをした
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作者名:はしゅら | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=hassyu
作成日時:2023年12月30日 21時