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NO side
7年前の11月7日、萩原が死にかけた日に時空は遡る。
「は…、萩原ァ"ーーーーッ!!!」
黒煙の上がるビルの下で携帯電話を握りしめ叫ぶ男、松田陣平。そしてその隣に立っていた桐生Aは即座に足を動かしていた。入口の機動隊員に止められるも弾き飛ばし、一目散に駆けていった。そしてその後を松田が追った。
結論から言う、萩原は生きていた。
その日、萩原は珍しくココ最近着ていなかった防護服をちゃんと着ていた。なんでも前日に松田という裏ルートで防護服を着て作業してないことを知った彼女から1発顔面に喰らったらしい。彼女曰く、『次やったら骨折る』と脅迫を受けたと語っていた。もし着ていなかったら今頃瓦礫に押しつぶされ、熱波に焼かれ、きっと肉の一欠片も残らなかった。
そして彼含めその場にいた爆発物処理班が奇跡的に全員生還出来たのには、もう1つ訳がある。
実はその時、桐生は犯人の作った爆弾が何かしらのスイッチ、または遠隔である事を視野に入れた捜査一課とサイバー対策課から、周囲の電波を探るように命令された部隊の1人だった。
そして桐生はその仕事をしている最中に不審な電波を見つけ、その電波を辿り向こう側の機器の支配権を一時的にでも手にした。だが1度ジャックして止めたはいいものの、ものの数秒で奪い返されまたタイムリミットが作動し爆発したとの事。
しかしその数秒がなかったら隊員たちは下のフロアまで逃げられず全員死んでいたであろう。
『………ぅ、』
「おい、目ェ擦んな」
手術中のランプが光る廊下のベンチで、乱暴に袖で目元を拭った腕は止められた。もう既に桐生の目元は赤くなっていて、暗い色合いのスーツにはファンデが擦れていた。
「……Aが居なかったらハギも他の隊員も生きてねぇよ。最もハギに関しては1発殴ってくれたからってのもあんだ」
だから、アイツが起きた時言ってやれ。『ざまぁ見やがれ、殴ってでも着させてやった私に感謝しろ』ってな…。と、サングラスを少し外して素顔を見せながら松田は言う。レンズの後ろにあった目は、桐生と同じく複雑な色が混ざっていた
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作者名:はしゅら | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=hassyu
作成日時:2023年12月30日 21時