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目の前でいい色に煮込まれたビーフシチューをかき回しながら、横目でオーブンを見る。バゲットが香ばしく香ってきたから少し早めに火を消そうと思い腕を伸ばした。
が、私より長い腕がそれを先にしてくれた。それを辿るとラフな格好に着替えた萩原がいる。そのまま近づいてバックハグついでに鍋を覗いてきた
｢お、今晩ビーフシチュー？めっちゃうまそ♡｣
『つまみ食いしないでよ、あと後ろから深めのお皿2枚と平皿1枚取って』
｢任されてーっ、お茶は？｣
『下の棚に紅茶パック入ってるはず、それ出しといて』
｢りょーかい｣
テーブルをセッティングする萩原を見ながら、こちらもシチューを皿に盛りカウンターに出す。
冷蔵庫からポテトサラダを2皿分出してテーブルの前に行くと、ちょっといい値段のするレストランのように並べられた食事があって、少し笑ってしまった。手に持ったものをテーブルに置くと、紅茶の入ったポットを抱えながら萩原が口を開く
｢はぁー…。料理もできて仕事もできてかっこよくって……
うちの彼女がハイスペックすぎて俺怖い(真顔)｣
『言うほどハイスペックか…？』
片手で顔を覆う萩原の腕を引いて椅子に座り、顔を合わせる
｢『いただきます』｣
どちらともなく重なった声を合図に、ビーフシチューを1口。
うん、おいしい
｢んまっ、隠し味変えた？｣
『よくぞ気がついた、何にしたと思う？』
クイズ形式にして問いてみると、真剣に考え出した。じっくり味わって貰えて嬉しいって気持ちと、考えてる所もまぁ様になるなと複雑な気持ち
｢…前は味噌だったけど、何となく親しみのある香りがする｣
『だろうね、ほぼ違和感なく今まで口にしてるから』
｢……コーヒー？｣
『お、正解。インスタントコーヒーを少し加えてみた、ちなみに諸伏から教わった』
｢最近また料理スキルあげたと思ったらそういう事ね｣
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作者名：はしゅら | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=hassyu
作成日時：2023年12月30日 21時
