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「......え、は?」
「最近、ずっと侑くんとおると緊張するし、ドキドキするし、楽しいし、しかもAちゃんって呼んでくれるし、かわええなんて言うてくれるし、我慢できんなって言うちゃった」
へへ、と顔を真っ赤にして笑う。
ちょ、待って。俺はどないしたらええん?Aちゃんに先手取られて、俺はどう取り返したらええ?
俺がスーパー脳内サミットを行ってるのに、Aちゃんは一気に言葉を続けた。
「侑くん、付き合ってほしい。侑くんともっと一緒にいたい」
優しい笑顔で、でも目は真剣に、俺に想いを伝えてくれる。
その目から、俺は目を逸らされへんかった。
「.........俺も、Aちゃんが好き」
「...へ、う、ほんま、に?」
「やから俺の彼女になって」
俺も告白のような返事をした。
「なる!侑くんの彼女になる!」
Aちゃんの笑顔は相変わらずキラキラしとって、その笑顔をもう独り占めできるなんて思ったら、胸がぎゅーってなった。
先に告白されちゃったんは悔しかったけど、幸せすぎる。
お互い少し照れながら、クラゲの水槽を眺めていると、左手が暖かく包まれた。
「...繋ぎたい、嫌やったら、振り払って」
「嫌なわけない」
彼女の小さな手をぎゅーと握り返した。
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「角名あー!!!」
寮に戻ってくるなり、角名の部屋に勝手に入る。
中にはサムと銀もいて、角名はめんどくさそうに顔を歪め、サムは「俺のジャケット着んなや」と不快感丸出しやった。
「おかえり、ヘタレ侑くん」
「......は?」
付き合ったこと報告しようと思ってたのに、ヘタレなんて一言に疑問が浮かぶ。
角名は何とも愉快そうに笑い、横におるサムと銀まで、笑い堪えてるようやった。
「Aに告白させたんでしょ」
「ツム男やないなあ」
「あんな好き好き言うてたのに」
え、何で知っとんの?情報早すぎん?
俺の思っとることを感じ取ったらしく、角名は少しスマホを操作して、俺に画面を見せる。
「俺、ずっとAの相談も受けてたの」
画面はAちゃんと角名のトーク画面で、今日の告白の成功を伝える文章があった。
「え、角名知っとったん?」
「わかりやすいじゃん、あいつ」
「ツムとよー似とるな」
「良かったやん、両想いで」
「はよゆーてくれや!」
チームメイトは俺の恋路をしっかり楽しんどったらしい。
それから、俺はずっとヘタレといじられることとなった。
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作者名:いおり | 作成日時:2021年10月15日 8時