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角名さんはまじで神やった。
俺が教室行ったときは、自然にAさんと2人にしてくれたり、3人で話してるときも上手いこと話題広げてAさんのこといっぱい知れるようにしてくれたり。そのおかげでAさんとの距離は一瞬で縮まった。
さらに角名はソフト部のオフを聞き出してくれた。
「角名ほんま何者なん...」
「もうそろそろ疲れたからね。早く告って」
「お、おう。ほんまありがとうな」
寮の食堂で角名と並んで飯を食いながら、来週のデートのことを考える。角名が聞き出してくれたオフの日にデートしようと誘ってみたら、Aさんは笑顔で頷いてくれた。
「はい、今日の報酬は?」
「こちらでございます...」
「おー、ありがとう」
角名もただで協力してくれる訳ちゃうくて、何かしてくれる度に報酬としてコンビニのスイーツを買ってきたり、肩揉んだり、課題を代わりにやったりしとった。
ちょっと高い給料な気もするけど、まあ結果が見合ってるからええか。
「え、角名めっちゃ美味そうなん持ってるやん」
「これ侑にもらった」
「ツム、俺の分はないんか?」
「角名にしか買っとらんの?」
角名さんに差し上げたちょっと高めなティラミスに、たった今目の前に座ったサムと銀が食いつく。
最悪や。今角名以外にAさんのことバレたら絶対めんどい。おちょくられるに決まっとる。
「角名への誕プレや」
「今まだ9月やけどな」
俺誤魔化すん下手すぎやろ。視界の端に映る角名は、笑いを堪えてるんかずっと震えとる。
「俺は侑に協力してるからね」
意味深に角名が答えたとき、サムがありえへん返事をした。
「ああ、Aのことか」
「...............え、は?......は?!今サム何つった?!」
「うっさいねん、見とったらわかるわ」
「気づいてないのAだけだよ、たぶん」
「侑休み時間ほとんど1組行ってるもんな〜」
サムも銀も、何も気にせず飯を食い続ける。角名も平然としとって、俺だけアホみたいに焦ってた。
「え、待って、俺そんなわかりやすかった?」
「Aと話すときは見たことないくらいにやにやしとった」
「移動教室で1組の前通るとき絶対探しとるやん」
「部活の休憩中もよく外行くふりして、ソフト部見てるしね」
自分の体温がどんどん上がっていく。顔に熱が集まるのがわかった。
「ツム、振られても慰めんからな」
「余計なお世話や!」
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作者名:いおり | 作成日時:2021年10月15日 8時