【コラボ】傷が語る過去【歌い手】 (ページ30)

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大きくて、強くて～女主視点～ページ30

『んー…』
ぐっと背伸びをする

いつもならここで“おはよ”と声がするのだが
今日からは、ない

寝ぼけ顔で鏡の前に立ち、歯磨きやら洗顔やらをすませる
うわ…寝癖が…いつもより酷い
適当に目立たないようにして制服に着替える

『食堂…どうしよ…』
朝からガヤガヤ五月蠅いんだよなぁ

パンあるし…
うん、今日はここで食べて行こう
トーストにジャムを少々塗って口に放り込む

なんだか女子力の欠片もない気がするのは…うん、気にしないでおこう

『…あ、時間』
ふと、時計を見れば思っていたより針が進んでいた

ブレザーを羽織り部屋を出る
ほとんどの人が食堂から教室に向かうため廊下は静かだ

「柚子ちゃーんっ」
『わあっ…96先輩！』
「ん、おはよー」
『おはようございます』
なんか…元気だな

昨日あんなことがあったから大丈夫かと思っていたが

「なにーなんか私が落ち込んでるとでも思ってたのー？」
『いえっ…え、と』
おぉぉ…
見事に当てられた

「後輩がそんな心配しないの！」
そう言って笑う96先輩はとても大きく、強く見えた

『…でも先輩小っちゃい…あっ』
慌てて口を抑える

が、遅かった

「柚子ちゃーん？今なんてー？」
『あ、ははは…』

その後教室に着くまでくすぐられました。(後日談)