【コラボ】傷が語る過去【歌い手】 (ページ24)

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逃走～男主視点～ページ24

『えーっと…とりあえず部屋に戻りな』

熱のことを聞かれるとはね
まぁ、天月君の静止を聞かずに飛び出してきたんだけど

『ほーら早く！』

背中をグイグイと押して部屋に戻させる
扉の前まで着くと俺は背中から手を離した

「空君？」

後ろを振り返る際に少し見えた傷

『いいか？絶対部屋に戻れよ』

ベランダの手すりの上に乗り念を押す

「空君！？」

『来るな！追いかけても来るな、ただ部屋に戻れ』

そこまで言うと俺は手すりから

飛び降りた

…のはいいんだが

『痛っ！』

着地は失敗した

腕の所々にかすり傷ができ木で引っ掻いたのか頬には切り傷ができていた

『はは、俺まだいけんじゃん』

もう飛び降りれないと思ったが案外無事だった
よかったよかった

「じゃない…」

は？

『誰だよ』

声のした方を見ると

『ら、らむ先輩』

呆れたような怒ったようならむ先輩の顔があった

「今何時だと思ってるんだよ、そして熱はどうした上から飛び降りるな」

一気に怒られた

ここはらむ先輩の部屋から一番近いところだったな…

『あ、あはは…ごめんなさい！』

今はそんなこと言ってる暇じゃない
一応謝り階段の方へと走る

幸い足はまったくの無傷だった
ひねった様子もなければどこかに当てた様子もない

「―――！」

らむ先輩が何か言ってたがそれどころではない

『ここからだっけ』

階段の下にある小さなスペースに入り壁を押す

と別の道が出てくる

ここは普段は緊急の時以外開かないんだけど開け方は至って簡単だ

壁の中に入り壁を閉めカンカンとなる道を走る

しばらくいけば階段が見えてくる

そこを上りまた階段の小さなスペースに戻る
一見進んでなさそうだが実際は一階分進んでいる

俺の考えが正しければここは地下一階だ

走ったせいか動悸がすごい

そして電気のブレーカーを落とす
今は消灯しているから気づかないかもしれないが翌日になれば気づく

そして一階に戻る

ブレーカーの場所は生徒会と先生たちしか知らない

辺りをよく見て周りに誰もいないのを確認する

『うし、』

校門まで一気に駆け抜ける
校門には防犯用のシステムが設置されているがブレーカーを落としたため作動しない

俺は学校から出て夜の街を走った

『じゃーな』

もう二度と学校には戻らないだろう