【コラボ】傷が語る過去【歌い手】 (ページ22)

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夢～男主視点～ページ22

―ザァァァァァ―…

雨の音がする

――――…

泣き声が聞こえる

―空君、空君―…

俺の名前を呼んでいる

―なんで…？―

柚子の声がする

あれは
柚子？

―私のせいだ！―…

柚子が肩に爪を食い込ませている

―私が…！―…

服の上から血が滲んでいる

―空君！―…

「空！」
『あ、天月君？』

耳元の声で目が覚める

「よかったーすごいうなされてたよ」

あれは夢？
まだ記憶に残ってる
声も覚えてる
姿もわかる

『ありがと…』

向かい側のベッドを見ると柚子の姿はなかった

『柚子は？』

天月君は首を横に振った

「探しに行くの？」

探すといっても大体の場所の検討はついている

『ちょっとね』

天月君の静止も聞かずに俺は部屋を飛び出した

向かう先は生徒会室

『歌詞太郎さん？』

上着を羽織りながら覗いてみる

「あれ？空どうした？」

『ちょっと歌詞太郎さんに聞きたいことがあって』

珍しいと思っていても答えてくれるそうだ

『―――――――――――――……』
「――――――――――――…」

生徒会室をあとにして月の見える場所へ向かう

あるひとつの確信を心に抱きながら

“柚子って自分を責めるとき肩に爪を食い込ませる？”

“ああ、昔からな”