【コラボ】傷が語る過去【歌い手】 (ページ18)

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看病～男主視点～ページ18

『うぁ…』

頭痛と戦いながらやっとのことで目を開ける

「起きたか」
「やったー！よかったよぉ…」

柚子の声がしない
ということはいないのか

「ただいま…って空君！？」

俺が起きていたことにビックリしたのか声をあげた

『おかえり…』

さすがに体は起こせなかったが

「……らむ」
「わかってる…」

何を思ってか二人は柚子のそばへ歩み寄った

「ちょっといい？」
「あ、はい……」

ナノも椅子から立ち上がり部屋の隅に寄る

『何話してんだ？』

虚ろになった意識で隅をみてもぼやけて見えるだけだ

だけど部屋に入ってきた柚子の表情は冴えなかった

でもあえて触れないようにしてたんだけど

「おまたせ」

そんなこと考えているうちに話は終わっていた

「顔が赤いね」

言われて初めて気づいた
顔が熱い

「ちょっと悪い…」

らむ先輩の手がおでこに当てられる

「…熱だな」

夏風邪というやつか
いや、でも今は春？

体温計で測ってみると

「39・6」

言われた数字に驚いた
そんなにあるのか

「ええ！？空ー大丈夫ー？」

39というと二週間かけても治るか治らないかほどの熱だ
昔はそうだった
けど今は…

それを考えると気が遠くなった

「空は体が弱いからな」

そうそう
原因は疲労や、精神不安定からくる熱らしい

俺はこの時確信した

俺の体は精神が不安定になると倒れる

だからこそ安定剤が必要なのだが最近は効かなくなっている

先生に電話したらすぐに作ってくれると言ってたが

そんなすぐには作れない

「うーん…アンダーバーに看病させるわけにもいかないしなぁ」

そう
あれでも一応副会長
仕事はたっぷりある
それはナノも一緒

96店長は論外
あれはまともに看病できないから
そらる様なんてそんな暇ない

らむ先輩は理事長からの仕事があるからどうしても休めない
まふくんは早く仕事になれてもらわないと困るし何よりまふくんが看病したら
総務がいなくなる

柚子も早く補助の仕事になれてもらわないとだ
となると優秀な天月君としゃむくんは仕事を教える

歌詞太郎さんはこれからの費用でとても多忙
プールの工事費用、部活の費用、校舎の建て替え、教科書など
色々な仕事が残っている

つまり看病できる人がいないのだ

「39もあるのに放っておけないし、病院嫌なんでしょ？」
『うん』

うーんとうなっている中爽やかーな声が響いた

「俺がするよ」

天月君の声だ