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ある休日、母さんが俺に優しく言った。
「海斗、新しいおうち行こっか。」
俺の頭をそっとなでて、左手の薬指からはずした銀の輪を机に置く。
白くて細い母さんの手に引かれるまま、俺は生まれ育った家を出た。
それからは母さんとの2人暮らし。
前居た家よりは狭かったけど、その分母さんとたくさん一緒にいれたし、もう喧嘩も聞かなくて済んだ。
父さんに会えなくなった寂しさより、優しい母さんとの穏やかな日常が訪れた嬉しさの方が大きかったかな。
母さんはお金が無いなりに頑張ってくれた。
月に1回の母さんのお給料日に、歩いて近くのラーメン屋に食べに行くのがすごく楽しみだった。
いつも母さんは1番安い醤油ラーメンを食べていたけど、俺には「好きな物頼んでね」と言ってくれた。
俺が小学4年生になった頃。
「海斗、お母さんね、今日から夜にお仕事に行くことになったの。海斗もう高学年のお兄さんだから大丈夫だよね？」
「うん。お母さんは眠たくないの？」
「大丈夫。海斗のためなら頑張れるよ。」
見たことない煌びやかなドレスを着て、化粧をして、高いヒールをつっかけて出ていく母さんの姿。
その日から俺はほぼ毎日1人で寝床についた。
母さんがおかしくなっていったのはきっとこの時からだろう。
知らない男の人がうちを出入りしたり、母さんが1日帰ってこないこともあった。
でもまだご飯のお金は置いていってくれていたから、中学生になった俺は適当に食べ繋いでいた。
最初の頃は3000円。
しばらくすると1000円。
次は500円。
だんだんと少なくなる金額。
ある一定期間の食費を、母さんが置いていくお金だけでやりくりする。
ある日朝起きると母さんがいた。
「おはよう…あのさ、もうお金、ないんだけど…」
「はあ？もう使い切ったの？……ッチ、」
怖いくらいに真っ赤なルージュの唇が、少し動いた。
母さんは財布から1万円を出すと、バン、とテーブルに叩きつけた。
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麦茶(プロフ) - イカさん» コメントありがとうございます！実は私もちゃかまちゅ好きで、イカさんの書くちゃかまちゅはいつも胸ギュッってなりながら読ませてもらってます🥹ちゃかまちゅのお話書いてみますね！ (2022年7月27日 23時) (
レス) id: 8051f4f5a3 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - コメント失礼します！私は重度のちゃかまちゅ厨でございまして、宮近松倉ペアのお話を読みたいです！ (2022年7月27日 20時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶(プロフ) - 目玉焼きさん» わーんそんな嬉しい感想をいただけると思ってませんでした( ᵕ ᵕ̩̩ )リクエストと感想をまでありがとうございました！またまつまつのリクエストございましたらお待ちしています！引き続きよろしくお願いします( ᵕᴗᵕ )" (2022年7月8日 0時) (レス) id: 0801fa33aa (このIDを非表示/違反報告)
目玉焼き(プロフ) - リクエストお応えいただきありがとうございました。リクエストして良かったと心から思います。麦茶さんの書く青橙の関係性が大好きです！最高です！！！！ (2022年7月7日 23時) (レス) id: 520e062079 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶(プロフ) - 目玉焼きさん» 目玉焼きさん、リクエストありがとうございます！かしこまりました。お時間頂くかもしれませんが、書いてみますね🙆♀️ (2022年6月28日 0時) (レス) id: 0801fa33aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麦茶 | 作成日時：2022年5月8日 10時
