相、雫4

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許せない。


自分の実力不足を後輩に八つ当たりする奴らなんて。


あんなに勉強も部活も頑張っていた海斗が学校に行けなくなるまで追い込んで。



「ごめんなさい、ごめんなさい…っ、学校、行かなきゃなのに。」



海斗は激しく泣き始める。


海斗が謝る必要も、傷つく必要もこれっぽちも無いのに。


悪いのは全部あいつらなのに。


なんで海斗がこんなに苦しまなきゃいけないの？


俺にしては珍しく、はらわたが煮えくり返りそうだ。



「海斗は悪くない。だから、謝んな。」

「こんなこと、父さんにも母さんにも言えなかったけど、りゅう兄ちゃんの姿さっき見た時、安心しちゃったんだ。」

「そっか…話してくれて、ありがとう。」



首を横にふる海斗だけど、きっと話すのにも勇気が必要だっただろう。


家族にも話せなかったことを、俺に頼ってくれた。


もっと早く助けてあげられなかったんだろうか。


そんな後悔が、俺を襲った。



“車つけてあるよ。降りてこれる？”



母さんからのメッセージ。



「海斗、行こう。」



俺は1週間前と同じように、海斗をおぶって家を出た。







診断結果は、ストレス性の胃炎。


何が原因かは、もうはっきりしている。


病院の帰り道、海斗が両親に伝えるからりゅう兄ちゃんも来て欲しいと言ってきた。


そして夜、海斗の家におじゃまする。

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