検索窓
今日:40 hit、昨日:15 hit、合計:43,930 hit

. ページ22

うちは俺とアシスタントさんの2人でやってる美容室で、お客さんは多くても2人しかいないから、人が多いのが苦手な海人でも平気。


平日の午前、ゆったりと時間が流れる。


海人は黙々と仕事をしていて、とても安定しているように見えた。


あと30分で11時になる、そんな時だった。


ガシャン、と何かが割れた音がした。


それは、海人がいるバックからの音だった。


アシスタントさんが見に行ってくれようとしたのを制して、お客さんにことわって、様子を見に行った。


カーテンをめくると、割れたグラスと、そのそばでうずくまってる海人が目に入った。


すぐに海人の隣にしゃがむ。



「海人?大丈夫?怪我ない?」

「〜〜〜〜っ、………」



声にならない声で、泣きながら唸っている。



「海人、そうしてたら苦しいでしょ?おいで。」



そう言うと素直に俺の胸に来てくれた。


多分、お客さんに出すドリンクを作ろうとしたところで、なにかの拍子にグラスを落としてしまったんだろう。


グラスの割れた音と、自分が割ってしまったという気持ちが海人の心を大きくゆさぶっているに違いない。


嗚咽をもらしながら泣く海人の広い背中を摩る。



「びっくりしたね。でも海人頑張ったね。ドリンクこの前教えたばっかりなのに、1人でやってくれようとしたんだね。」

「……っう、…はぁ、はぁ」



根気よく海人を落ち着けていると、徐々に浅い呼吸はおさまってきた。


ゆっくりと俺の体から離れた海人。


その顔色は、泣きじゃくっていたはずなのに青白かった。



「もうすぐ11時なるからね。如恵留が来てくれるまでもう少しこうしてようか。」



床に2人座って、もう一度海人を抱き寄せる。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
306人がお気に入り
設定タグ:travisjapan , 病系 , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

麦茶(プロフ) - イカさん» コメントありがとうございます!実は私もちゃかまちゅ好きで、イカさんの書くちゃかまちゅはいつも胸ギュッってなりながら読ませてもらってます🥹ちゃかまちゅのお話書いてみますね! (2022年7月27日 23時) (レス) id: 8051f4f5a3 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - コメント失礼します!私は重度のちゃかまちゅ厨でございまして、宮近松倉ペアのお話を読みたいです! (2022年7月27日 20時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶(プロフ) - 目玉焼きさん» わーんそんな嬉しい感想をいただけると思ってませんでした( ᵕ ᵕ̩̩ )リクエストと感想をまでありがとうございました!またまつまつのリクエストございましたらお待ちしています!引き続きよろしくお願いします( ᵕᴗᵕ )" (2022年7月8日 0時) (レス) id: 0801fa33aa (このIDを非表示/違反報告)
目玉焼き(プロフ) - リクエストお応えいただきありがとうございました。リクエストして良かったと心から思います。麦茶さんの書く青橙の関係性が大好きです!最高です!!!! (2022年7月7日 23時) (レス) id: 520e062079 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶(プロフ) - 目玉焼きさん» 目玉焼きさん、リクエストありがとうございます!かしこまりました。お時間頂くかもしれませんが、書いてみますね🙆‍♀️ (2022年6月28日 0時) (レス) id: 0801fa33aa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:麦茶 | 作成日時:2022年5月8日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。