微笑を浮かべる ページ7
「すみま……
えっと、私はAと言います。よろしくお願いします」
危なかった。思わず口をつぐんだ。
「私はフーム。フームって呼んでちょうだい。
一応ここの国の大臣の娘だけど、気にせず仲良くしてちょうだい」
「俺はブン!フームの弟だ!
俺もブンで良いぜ!」
その言葉にさらにびっくりさせられた。まさかこの世界を守る次世代戦士だけでなく、私は大臣の娘さんとも会話して居たのか。つくづくあそこを出てから驚かされることばかりだ。
「ぽよぉ、かーびぃ、かーびぃ!」
「私はメタナイトだ。この国の王に仕えている」
「私達はメタナイト卿って呼んでるわ
カービィも気軽に名前を呼んで欲しいって」
改めて挨拶される。よく見たら、卿は私達よりも身長が低く、カービィと同じような体型だということに気がついた。
生まれは同じとか、そんな共通点があったりするのだろうか……?
「はい。よろしくお願いします、フーム、ブン、メタナイト卿……カービィ」
そう返すと、ブンはぷっと吹き出し心底可笑しいとでも言うように笑い出した。フームは困った顔のまま愛想笑いを浮かべていた。メタナイト卿はこちらを凝視して何かを読み取っているように見受けられる。
「なんで敬語なんだよ!メタナイト卿ならまだしも、俺らに敬語は無いだろ!」
「ちょっと、ブン。……そうね、私達には敬語なんて無くてもいいわ。現に私達が敬語を使わずあなたと話してしまってるし」
彼女はゆっくりと花開くような微笑みを見せた。私と同じくらいの年齢なのに、こんなにも可愛く微笑むことができるのか。素直に、凄いなぁと彼女を見つめながら思った。
「は……うん。よろしくね。」
ただいまの現在地はこの城のバルコニーなのだが、体に受ける風が心地よい。こんな穏やかな気候の中にいるなんて、少し前までは想像もしていなかっただろうな。微かに香る花の香りが、風に乗せられてやってくる。
カービィは私の周りをぴょんぴょん飛び回っている。その体を優しく抱き、柔らかな肌に指をしずませる。程よい弾力があって癖になりそうだ。
自然と口角が上がる。カービィは一層喜んだようにぽよぽよと声をあげた。
「そ、そうだ!A、あなたの服を用意しなきゃね。貴方が着ているのは、少し服とは言い難いわ。村の案内ついでに作って貰いましょう!」
「う、うん!」
Aは知らなかった。
彼女の笑顔が、一層目を奪うモノで――騎士の彼でさえも目を奪われるほどのものだったことを。
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Taruru(プロフ) - 武藤さん» コメントありがとうございます!お褒めのお言葉ありがとうございます、今までに一番力を入れて書いている作品なのでコメント頂き本当に嬉しいです! これからも更新を頑張って行こうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 (2018年7月23日 22時) (レス) id: d72b270231 (このIDを非表示/違反報告)
武藤(プロフ) - 初めまして!感想が山ほどありすぎて、全てをお伝え出来ず本当に申し訳ない…ここまで心を揺さぶられ、締め付けられる作品に出会えたのは初めてです…本当にありがとうございます…! (2018年5月22日 0時) (レス) id: 957024adf4 (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - Lavenさん» Lavenさん、コメントありがとうございます! 返信遅れて大変申し訳ありません……小説を閲覧頂きとても嬉しいです。これから本格的に終わりに近づいていきますが、頑張って更新をしていこうと思います! 応援ありがとうございます。 (2018年3月17日 16時) (レス) id: c1df570a9b (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - 東方&カービィラブさん» コメントありがとうございます! 受験は無事終わりましたので、更新は定期的にできるようにはなると思います! もう物語も終盤ですが、どうぞ最後までお付き合い頂けると嬉しいです。 (2018年3月17日 16時) (レス) id: c1df570a9b (このIDを非表示/違反報告)
Laven - Taruruさん、お久しぶりです! 以前に貴方様からコメントをいただきましたLavenです。いつかこちらにお邪魔しようと思っていたらかなり間があいてしまいました……。今後の展開が色々と気になり過ぎます! 今でも更新を待ち遠しく思っています、頑張ってください! (2018年3月4日 20時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
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