検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:43,138 hit

ぬくもり ページ18

塵が地下に舞い散っていく。
途端に周りの空気が浄化されていく。吸うだけで頭がぐわんぐわんとしていた鬱々とした空気は何処かに消えていた。
後ろを見れば、フームさんが顔を心配そうに伺いながら近づいていた。
私はそれを薄く微笑みながら待つ。




私の頬に手が触れる。




私はそれを見て、今までにないほどほおを緩ませた。
カービィが足元にしがみついてきた。
あ、意外と柔らかい…………
カービィを抱きかかえ、思いっきり甘えてくる彼に頬擦りをする。かわいい……。

ぽよぽい、とゴロゴロと聞こえてきそうなほど私の頬にほっぺを擦り付けて来るカービィ。
ああ、あったかい。

そういえば、外はどうなったのだろうか。そして、メタナイトさんも…………
私はフームさんに目配せをして階段を上がっていった。
相変わらず音を上げる階段。その音さえ私には心地いいものになっていた。





外に出れば、そこは一面のアネモネ畑になっていた。いろいろな色が咲き誇っているが、一層目立つのは紫色だった。
私は走って記憶を頼りにメタナイトさんを探す。

紫のアネモネの中に横たわる青。私は見つけた瞬間それに駆け寄った。
相変わらずその瞳は閉じられたままだ。銀色の仮面を外す。

『メタナイトさん…………』

すっかり冷たくなってしまった体。それを温めるように抱き寄せる。
蔓に巻かれてしまう前に、メタナイトさんがしてくれたように。



『お願い、起きて、起きてください、わたし、あなたがいないと、おねがい』

どうやら私は悲願するとき、言葉が途切れ途切れになってしまうらしい。
私は涙を流した。ただでさえ既に酷い顔なのに、また泣いて仕舞えば台無しだ。




おねがい








「A」









「A…………A」






『メタナイト、さん………』




まだ僅かではあるが、その体は温もりを取り戻していた。
もう二度と失わないように彼を掻き抱く。暖めるように、包み込むように。

周りにはアネモネの花弁が舞っていた。

愛しているよ、大好き。→←ごめんなさい、ありがとう



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
40人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ネヴァライス(プロフ) - いい話でした!メタナイト卿最高! (4月24日 16時) (レス) @page22 id: 809f109241 (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - 猫じゃらしさん» 感想ありがとうございます!恥ずかしながら次回作の更新頻度は高いとは言えませんが、なんとか頑張っていく所存です。 (2016年8月17日 0時) (レス) id: 8c208b8a17 (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - サファイアさん» わかります!得もいえぬかっこよさが滲み出ていますよね! (2016年8月16日 23時) (レス) id: 8c208b8a17 (このIDを非表示/違反報告)
猫じゃらし - お疲れさまでした!ドキドキな場面が多くてスゴかったです(///ω///)♪次も頑張って下さい! (2016年8月6日 14時) (レス) id: bc2366067c (このIDを非表示/違反報告)
サファイア - メタナイト落ちっていいですよね! (2016年7月14日 21時) (レス) id: 7ac2b69858 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Taruru | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年10月11日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。