彼との、 ページ37
私はトイレの個室で啜り声をあげて泣いた。
私は仇も打った。メタナイトという恋人も寄り添ってくれているというのに、なぜ私はあんな夢を見てしまったんだろう。
確かに私は過去を誰にも話していないけど、それでいいと思っている。だから、必要はないと。
そう、思っていた。
「A」
『っ、メタナイト………?』
私は鍵に手をかけて、扉を開く。
………あ、しまった。無様な泣き顔を晒してしまった。
私は今更それに気づいて、羽で顔を隠す。
しかし、メタナイトはその羽を手でどかした。
『っ、めた』
「何故話さなかった?」
至近距離で囁くように促され、思わず私は顔を歪ませた。
それはもう、ぐしゃぐしゃに。
『わ、たし………っは、………過去はみんなに話さず、にっ………ひっ、し、知られたくなかった、から………!』
嗚咽を繰り返し、ほぼ自分でも言葉が汲み取れない。
「そなたが苦しんでいるのなら、私にぶつけてもらっても良い。Aが少しでも楽になるのなら、私は構わない。お願いだから、少しずつでも話してくれないか」
『っ………ごめ、なさい………今は話すことはでき、ない』
安心したのか嗚咽は収まったけれど、未だに心の整理はつかなかった。
「そうか………なら、いつでも良い。
でも、一人で抱え込むのは止めてくれ。
私が、力になる。」
彼はそう言いながら羽を優しく撫でた。
彼がいつの間に、仮面を外している。
………ああ、情け無い。私は、こんな素敵な人に支えられていたのに、気付こうともしなかったなんて。
私は、その唇にお詫びの印としてくちづけをした。
『あっ………』
唇を放して直ぐ、彼の方からキスをされる。私はそれを受け入れ、どんどん深くなっていった。
………そう言えば、今まで彼とキスを交わしたことがなかったなぁと思う。
実は恋愛なんて経験が一度もない。だから、キスも初めてなのであって。
「まさか、キスは初めてか?」
『………っ、何故それを』
「いや、目をつむる時のそなたの顔があまりにも赤くてな……」
そう言われ、私はぼっと音が出そうなくらい顔が赤くなったのがわかった。
「ふふ、まぁゆっくりと進めていこうではないか。
子供も、近いうちに、な?」
そう耳元で囁かれた。
彼との、子供……
それって…………!?
『ちょ、メタナイト!それはまだ………』
「なんなら、今から、か?」
えっ、と言葉をこぼす間も無く、私は彼のマントに包まれ部屋へと連れて行かれた。
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ルア(プロフ) - ああ.......尊い...........最高。:+((*´艸`))+:。 (2021年4月10日 12時) (レス) id: e424c5f1e4 (このIDを非表示/違反報告)
巫零亜【フレア】(プロフ) - あぁ…恋愛甘々シーンの描写が上手いのと場面のチョイス最高っす… (2020年4月16日 0時) (レス) id: 258f8cb9be (このIDを非表示/違反報告)
真後ろのソース - あぁ…尊い…やばい、好き()よきかな。うんうん、よきだな。(何様やねん (2019年9月16日 17時) (レス) id: cae02b46bd (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - まひさん» コメントありがとうございます! 激甘ですか……ご希望通りには出来ないと思いますが、出来るだけ甘くなるように書いてみますね! リクエストありがとうございます! (2018年4月4日 12時) (レス) id: c1df570a9b (このIDを非表示/違反報告)
まひ - なんて・・・尊い!! この二人の激甘か゛すごくみたいです! (2018年4月2日 22時) (レス) id: 4418933e28 (このIDを非表示/違反報告)
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