それぞれの ページ16
その日は随分と変わっていた。
いや、変わっていたような気がした、と言うべきか。周りの葉がざわざわと揺れ、私の心を落ち着かせるようにうごめく。
今日の私は業務を行う気力は無いに等しかった。
彼女の秘密を聞いてからというもの、今まで過ごしてきた時間と彼女のきてからの時間がはっきりと分かれてしまったように錯覚する。
ベランダで色々と考え込んでしまい、ドアが開く音にも気づかなかったのだ。あまりにも本調子でない私に船員も戸惑っている。当の原因であるAは和菓子を持って私にあまり急き込まないようにと忠告してくれた。
どういうわけか、彼女の事を意識しすぎているのだ。
大王の言う通り、Aは普段通り接してもらいたいのだろう。なら、この状況は彼女にとって具合が悪すぎる。
しかし理由が気になるのだから仕方が無い、それまでの辛抱だろう。
『やっべえ、この羊羹マジうめぇ』
女の子らしからぬ言葉遣いで羊羹を平らげるA。…………こちらもまた食いしん坊のいやしんぼう、といったところか。
まぁでも、嘘をついて良くここまで来れたものだ。私はベランダに出てを頬杖をついた。
なかなかメタナイトさんは私についての話題を口にしない。そこには特に意図は無いのだろうが、こちらとしては裏があるのではないか、と考えてしまうのである。
この時点で自分は、嘘をつくことに疲れ始めていた。むしろ、嘘を隠し通せたマルクやマホロアに尊敬の意を感じ始めている程だ。
――もし、メタナイトさんがこの嘘に気付いたら。
そんな事を考えては頭の隅に追いやる、という行為がもう何回も繰り返して、もはや作業と化してしまっている。
そろそろ、この問題に向き合わなければいけない。そんな予感がする。
私はその予感に、胸が締め付けられるのを感じた。
ポップスターの空は、そんな私の葛藤を打ち消すかのような白群色をしている。
遠くに目を向けると、クッキーカントリーの風車が見えた。穏やかな風に吹かれて回っている。
なんだかやるせ無い気持ちがもどかしく、ますます気持ちは深海へと沈んでいった。
水圧が体にかかっていくような、少し苦しく感じる気分だった。
ワドルディがくれたシブーストを見て、私も作ってみようか、と簡易的な明日の計画を立てた。
流石に食べるのは遠慮した。和菓子食べたあとだもん。
久々の女の子らしい行動に自分でも呆れながらも、部屋に入り窓を閉めた。
晴れ渡った昼だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アリス - カービィのポジションがこれまた良い…。いい作品ですね! (2022年5月29日 21時) (
レス) @page49 id: d52c4cdcef (このIDを非表示/違反報告)
( ＾∀＾) - カービィの小説で一番面白くて大好きです! (2018年12月22日 17時) (レス) id: fd91df0bf4 (このIDを非表示/違反報告)
コカゲ(暗黒物質) - うわぁ、いい話やったなぁ〜・・・また最初から見るね！ (2017年11月11日 12時) (レス) id: 6840f1b848 (このIDを非表示/違反報告)
雪咲 鈴(プロフ) - ちょｗｗｗｗｗｗｗ最後のなんなのwwww (2017年10月19日 17時) (レス) id: f1f89f7d9f (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - ダゼちゃさん» コメントありがとうございます！ギャラさんの夢小説が少なすぎるので作って見た所存なのですが、喜んでいただきとても嬉しいです！次回作どうぞよろしくお願い致します。 (2017年8月9日 12時) (レス) id: 4525ec543d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
