検索窓
今日:3 hit、昨日:15 hit、合計:5,356 hit

存在の承認 ページ18

「A」
「は、はい」
「そなたは改造を施された時に、何故か精神面での意識の侵攻がなかった、と言っていただろう。細かな分類は違えども、おそらくそなたも良心を備えた魔獣、ということになるのではないか?」
「……なるほど」

私の場合は改造されて意識の汚染が叶わなかったというだけだが、それだけ自分の良心という意志が強いということになるのかもしれない。自覚はないし、そんなことはないとは自負しているけれども。
だけど、村で変わらず生活している二人と、私は同じ。不思議とすごく安心してしまって、俯き深く息を吐く。私は存在してもいいんだ、という確証が得られた気もして。

「ようやく緩んだ顔を見せたな」
「えっ」

この空間に響く彼の声が、一層柔らかくなるのを感じた。

「その顔をしている方が私は好きだ」
「な、」

それ、どういう──
俯いていた顔をバッと上げて彼の姿を捉えようとした頃には、卿はそこにはいなくなってしまっていた。

「……いつ消えたの……」

内心げんなりしつつも、自らの頬を触る。
ああほんとに、私って人慣れしていない。あんな普通の言葉で、こんなに頬が熱くなるなんて。
唸りながら、カブー内部を後にしたのだった。




 自身の住まいへの帰路の途中。やけに村中が静まり返っていることに気付いた。まだ昼下がりだから寝静まる訳もないし、一体どういうことなのだろう。首をかしげる。真ん中にそびえたつ大木の横を丁度通り過ぎていくと、ふと向こうに見覚えのある人影が走ってきているのが見えた。

「おーい!A!」
「あ、ブン。どうしたの?」
「どーしたもこーしたもねーよ、お前を探してたんだよ!ほらこっちだ、早く!」

矢継ぎ早に用件を話したブンは、私の手を掴んで走り出す。
待っ、球体の身体で手を持たれると浮く……!
そう言うことも叶わず、必死に足を動かしてブンのスピードに合わせるのだった。



「よーし、着いた!おーいみんな、来たぞ!!」

着いた場所は、草原が広がっている地面に大きな机が置かれている、何かの会場らしき場所。机の上には美味しそう料理が置かれていて、まるで何かを祝うような風貌だ。
ブンが大声で呼びかけると、一斉に破裂音。その音に一瞬動揺していると、間もなく皆の声が──

「ププヴィレッジへようこそ、A!」

「……えっと??」

予想だにしなかった展開に、思考が止まる。何か大きなリアクションでも返せればよかったのだが、如何せん思考が追い付かなかった。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←良心



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:星のカービィ , アニカビ , メタナイト   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Taruru(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます!これからどんな物語になるのか、私ですらも未知数ではございますが、見守って頂けると非常に嬉しく思います! (2023年1月11日 14時) (レス) id: fac5bd7c83 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - これからどんな展開になるのか楽しみです! (2023年1月10日 16時) (レス) @page5 id: 1828bfdce7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Taruru | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2023年1月9日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。