人に足る ページ16
「ほら、言ったでしょ？みんな受け入れてくれるって」
「……そうですね」
カワサキの味気ないうどんをすすりながら、三人で食卓を囲む。フームさんは味が物足りなさそうな顔をしているし、メタナイトさんも同じような顔を心なしかしている気がする。……最初に言われたけど、本当に料理は微妙なんだな……。あ、フームさんカービィの方に寄せた。カービィは美味しそうに食べるんだなぁ。すごい。
出汁の効いていないうどんの汁を飲んだ。
「ねえA、私の事も気安く呼んで頂戴。敬語もナシで。擽ったいのよね、なんだか」
「へ？」
「だって、村の皆で私だけだなんて寂しいわ。良いでしょう？」
村の皆さんに挨拶した時、決まって言われた言葉がある。
「そんな『さん』なんて付けなくても、気安く呼んでよ！あと敬語もなし！」
……そんなことを言われては、敬称を付けるというのも失礼な気がしてしまって。結局フームさん以外、名前そのままで呼ぶという状況になったのだ。メタナイト卿に関しては、皆がそう呼んでいたので呼ぶことに決めた。みんなに合わせた方が良いかな、という判断だ。
確かに、村の皆でフームさんだけ敬称が付くというのもおかしい気がする。──メタナイト卿に関しては別だろうけど……。
口を開く。
「あぁ、えっと……じゃあ、」
「フーム……？」
そう恐る恐る呟くと、当のフームさ……フームは、何が面白かったのかぷっ、と吹き出し、笑い始める。予想だにしない反応に、どうすればいいのかわからず頭を捻っていると、
「はぁ、本当に、面白い人ねAって！」
「え、えぇ……？」
「まあ、ゆっくり慣れていけばいいわ。ありがとう」
そっ、か。そう言いながら下を向く。色の薄いつゆに、己の戸惑っている顔が映る。
──正直、理解が追い付かない。今まで自分は受け入れられないだろうからと避けていたのに。皆に私が魔獣って、言ったっけ。
言ってないか……。
水面が揺れる。
「──それでも、いいか」
「へ？A、今なんて？」
「……ううん、なんでもない」
魔獣だろうが、私は私なんだ。村の皆の私を見る目が何よりの証明だ。私は普通の人に足るんだろう。そう思って、出汁を飲む。
「薄い……」
「あはは、しょうがないわよ」
「……して、A。もし己の力に不安を感じるのならば、私と訓練してみないか」
目を見開く。
「へ？」
「不安なのだろう、扱いきれるか。そなたの意思が聞きたい」
その目は確かに、私を見ていた。
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Taruru(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます！これからどんな物語になるのか、私ですらも未知数ではございますが、見守って頂けると非常に嬉しく思います！ (2023年1月11日 14時) (
レス) id: fac5bd7c83 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - これからどんな展開になるのか楽しみです！ (2023年1月10日 16時) (レス) @page5 id: 1828bfdce7 (このIDを非表示/違反報告)
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