邂逅 ページ12
カービィは、ホバリングをして城のあるバルコニーへと向かっていく。
ここからでは私達二人は到達できないかと思われたが、ちょうどその近くに木があった。私はフームを抱えて素早くそれに飛び乗り、カービィと同じタイミングでバルコニーに到達する。
……フームが不満そうな面持ちでこちらを見ているが、知らないふりをした。
コンコン、とその短い手を伸ばし窓をノックする。
しばらく待つと、カーテンが開き件の者が姿を見せたかと思えば血の気が引いた表情を見せて、たちまちカーテンを閉めてしまった。
ぽよ? と首をかしげるカービィ。カービィは声を出してかの者を呼んでいるが、まるで出てくる気配がない。
「ぽよぉ」
困ったなぁ、と頭を掻く仕草を見せる。
「……ふむ」
姿を見せてくれないと、こちらとしても幾分か都合が悪い。彼の能力と同じものをもつ人物なのだ、話を聞く必要性は大いにあるだろう。
私は、ここまでずっと閉じていた口を開く。
「突然の訪問失礼した。そなたにお尋ねしたいことがあるのだ。
危害を加えることはしないと約束する故、窓を開けてほしい」
聞こえるように通る声で話す。カーテンの向こうで人が動く気配がした。
しばらくの沈黙。あまりに痛々しい火傷跡を持つ彼女は、伏せ目がちに窓を開ける。その表情は、諦めが滲み出ていた。
「──それで、そなたについて、教えて頂ければと思うのだが」
斯くして四人は、Aの部屋で机を囲んでいた。席に着いてそれぞれの自己紹介を終えた後、少しの沈黙ののちに口を開いたのは、メタナイトだった。
Aはピクリと体を動かし、目線を右往左往させて覚束ない。自身を落ち着かせようと深く息を吐いた。そして目線をメタナイトの方に向け、どこか不安げな様子を隠すように話し出す。
「……まず、私の身の上から話します」
そうして、Aは時々詰まりながらも言葉を紡いでいく。フームとメタナイトは、その話に真剣に、表情を変えることなく耳を傾けていた。しかし、ある一言で二人の表情は一変する。
「それで──私は、突然攫われたんです。……ナイトメア社という組織に」
「何?」
「ナイトメア!?」
Aはここまで大きな反応が返ってくるとは思わず、目を見開く。こんな反応をするということは、ナイトメアのことを知っているのだろうか。
「……知っているんですか?」
「ええ。星の戦士であるカービィを倒そうと、魔獣を送り込んでいるの」
「ほ、星の戦士?」
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Taruru(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます!これからどんな物語になるのか、私ですらも未知数ではございますが、見守って頂けると非常に嬉しく思います! (2023年1月11日 14時) (レス) id: fac5bd7c83 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - これからどんな展開になるのか楽しみです! (2023年1月10日 16時) (レス) @page5 id: 1828bfdce7 (このIDを非表示/違反報告)
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