恋慕なんて似合わないから ページ4
「どうして、そんな事を？」
暖かな夜風が私達の間を吹き抜ける。月明かりが卿の銀色の仮面を輝かせていた。
「そなたは囚われの身のままここに辿り着いた。今までこそここの生活に慣れていたが、そなたの両親や、友人に……会いたくはないのか、と思ってな」
確かにここの生活は非常に良いものであったことは間違いないし、故郷のことを忘れていたのもまた事実だった。でも──
「私、以前にもナックルジョーに同じような質問をされたんですよ。本当に親元を離れるつもりなのかって。
でも私、『ここにいたいって思う。ここにいた方が幸せだから』って言ったんです。あの時は少し考えただけで、熟考の上では無かったのですが──私は、ここにずっといたいって思ってます。親に会いたい気持ちは少なからずありますが、どうにも」
「ここの村の人達と過ごしたい、っていう気持ちが大きくって」
あはは、と照れくさくて彼から目線を逸らしつつ述べた。自分の考えや気持ちを伝えることに案外羞恥を覚えながらも、紡ぎ上げた言葉だった。
彼の影がうごめくと共に、かちゃり、と金属が当たる音が近くなった。大切なものを扱うようなやさしい手つきで、私の手が取られる。
「では、もう一つ──そなたが部屋に置いている私のマント。随分と大切にして貰っているようだが……その意味を、聴かせてもらえるかな」
体が途端に強張るのがわかった。そして、顔に熱がこもるのも。言われたその時、反射的に彼の目を真っ直ぐ見つめてしまったせいでその蜂蜜色から目が離せない。それに反して、私の言動は随分と逃げに走るようなものだった。
「……言わないと駄目ですか？」
「ああ。そなたが言ってくれるまで、この手を離すつもりはないぞ」
退路はない、か──
「えっと……あの、とても嬉しくて──誰かに何かをもらったことが。昔は、そんなことほとんどされたことがなかったので」
根性無し、だなあ。心の中で自嘲した。もちろんこの理由も含まれてはいるが、もっと大きい理由が他にあったのだ。ただ、本人を目の前にして言う勇気が湧いて来なかっただけで。恋慕など、私には似つかわしくない言葉だと思った。彼に言ってしまったとして、彼はどんな返事をするのか想像しただけで胸が苦しくなるのだ。期待できる言葉なんて、とびっきりの苦味のような──
「それだけか」
「え？」
「少なくとも私は──そなたが、私に想いを寄せているように思えたのだが」
「それは、私の勘違いだろうか？」
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ソウル・ハート - メタナイトカッコいいなぁ (2023年4月3日 8時) (
レス) id: de10e37100 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - メタ様が可愛かったです！ガチでニヤケが止まらない…また星カビ出たらみますね！ (2022年3月11日 20時) (レス) @page10 id: 1fcc16bd5c (このIDを非表示/違反報告)
柏木信子(プロフ) - はわわわわ…すごく面白かったです…!!ニヤニヤが止まりませんでした！ (2019年9月2日 18時) (レス) id: 76444309d4 (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - ランドルト環さん» コメントありがとナス！ おっ、(こんなとこで語録出して)大丈夫か大丈夫か？ 次回作も読んでくれよな〜頼むよ〜 (閲覧ありがとうございました。更新速度は遅くなると思いますが、次回作も読んでいただけると嬉しいです。) (2019年4月27日 22時) (レス) id: d72b270231 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルト環(プロフ) - はえ〜すっごい面白い…メタナイト卿がかっこよすぎて涙がで、出ますよ…。神作品だってはっきりわかんだね。やっぱTaruruさんの小説を…最高やな！新しい作品も書いて下さい！なんでもしますから！ (2019年4月23日 14時) (レス) id: 4b90a239d3 (このIDを非表示/違反報告)
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