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gr「…誰と重ねているのか知らないが、そろそろ離れないか…?」
「…え…あ、ごめん。じゃあさ、一つだけ聞いていい?」
暫くした頃、僕はハッとして、すぐに彼から離れた。すぐに、先程落とした本を拾い上げ、その本を元の位置であろう場所に戻し、彼の方を見る。
「…グルッペンくんはさ、何故、この世界の全てを自らの支配下に置きたいと思っているの?」
gr「…まさか、お前からそんな質問をされるとはな。Aなら、何か知っているのではないかと思っていんだがな。」
「僕にだって知らないことの一つや二つあるから。特に、君の考えを読めたことなんて一度たりともないんだけどなぁ。」
gr「そうか。まあ、俺が考えていることなど、極めて単純なことなのだがな。」
彼はそう言うと、「俺はな」と話を始めた。
gr「今までの常識を覆したいだけなんや。生まれつき偉いものが、この世を支配するだなんておかしいとは思わないか?才能や努力を見ずして、自らの権限をまもるために無能な貴族や王族に王の座を明け渡すなど。それが、時には愚帝になり得るということがわからないのかと思うよ。」
そこまで話すと、グルッペンくんは棚から一冊の絵本を取り出した。それは、初めて見るような絵本ではなかった。どこにでもあるような、王族を描いた絵本。グルッペンくんはそのうちの1ページを指さす。
そこに描かれていたのは、至って普通の王族の絵だった。民衆に囲まれ、華やかで豪華な光り輝く衣装に身を包んだ姿は、まさに"王"と冠するに相応しい様だろう。
gr「そう言う奴はな、このように、決まって見た目を着飾るんだ。それは何故だと思う?」
「考えたこともなかったな…。"いつのまにか"、華やかであることこそ、王族の証であり、この世を統べるものの象徴であるという印象があったからね。」
gr「…そうだ。俺は、それが気に食わないんだ。昔から、王族共はな、民衆と同じ格好をしていては、"民衆と見分けがつかない"から見た目だけを着飾るのだぞ。」
「…何故見分けがつかないのか、と言いたいところだけど、妙に納得できる言い分だね。最近の王というのは、本当にそういう奴らばかりだ。パッと見て強さが分かるやつなんて、そう居ない。」
本当に強い者というのは、誰から見てもその実力は分かるものだ。昔は意外と実力主義であり、有能な王が多かったのだが、いつの間にか権力しかない無能な王が上に立つことの方が多くなったように感じる。
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しめじ(プロフ) - ゆんさん» コメントありがとうございます!そして、最近更新が滞っており申し訳なく思います。しかし、完結までは必ず続けるつもりなので、それまで見てくださるととても嬉しいです…! (12月11日 21時) (レス) id: 095fd86269 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新嬉しいです。この話だけは続き見たいのでページ残してます。これからも頑張って。 (12月10日 21時) (レス) @page10 id: c8a05a8ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しめじ | 作成日時:2023年11月26日 22時