【１４８】・ ページ5
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僕は徐に立ち上がり、廊下に出た。以前にも訪れたことのある倉庫に行こうと思いついたのだ。あの、賜物を見つけた倉庫に。あそこなら、a国についての資料が沢山あったと思うし。
暫く歩いて、倉庫の前に着くと、僕はゆっくりと扉を開けた。中は、以前のまま何も変わってはいなかった。しかし、中は散らかっており、それは気分が悪かった。片付けようと、近くに落ちていた本に手を伸ばす。特に意味もなく、その本をペラペラと捲り、内容を確認した。
「…おかしいな…。名前についての記述が一切ない。」
普通ならば、その人を象徴する名前は必ず書くべき事項だ。しかし、僕…いや、グルッペンくんの名前すら記されていない。不思議に思い、他の資料も覗いてみたが、最初の本同様に、名前についての記述は一切なかった。
破られた跡、不自然に消された跡なども一切なく、殆ど当時のままの状態なのに。
「…どう言うことだ……？もしかして、グルッペンくんは生まれ変わることも想定して……いや、流石にそれはありえないよな……？」
そう言えば、僕の名前も現代には語り継がれず、"色の見える剣士"だと伝わっている。整理のつかない頭で、色々と考えていると、突然背後の扉が開いた。だいぶ遅い時刻だと思っていたのだが、誰かが起きていたのだろうか。それとも、侵入者………
「…………え？」
gr「こんなところで、何をやっているんだ…？A………」
後ろを振り返らずともわかった。暗闇に映える美しい漆黒は、彼以外にはありえないのだ。僕は思わず声を溢し、彼も困惑した声を上げた。
「…グルッペン、くんこそ………」
なんとか絞り出した言葉の続きは、何処を探しても無く、発した言葉だけが静かな暗闇に溶けていった。
gr「俺は、執務が終わったから、私情で調べ物をしにここへ来たのだが…、Aがいるとは思わなかったゾ。」
足音が聞こえて、僕の目の前に彼が現れた。懐かしさを感じる真紅の瞳に僕が映される。それと同時に、僕は持っていた本を床に落とした。そして、おもわず彼に抱きつく。
「……僕ね、ちゃんと"約束"守ったんだよ。」
gr「…"約束"？…それと、その"呼び方"………」
「…あ、ごめん…。懐かしくて…つい昔の癖が……」
gr「謝らなくていい。逆にそう呼んでくれた方が嬉しいわ。」
グルッペンくんはなんとなく察しがついたような顔をして、一方的に抱きしめていた僕を控えめに抱きしめ返してくれた。
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しめじ(プロフ) - ゆんさん» コメントありがとうございます！そして、最近更新が滞っており申し訳なく思います。しかし、完結までは必ず続けるつもりなので、それまで見てくださるととても嬉しいです…！ (12月11日 21時) (
レス) id: 095fd86269 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新嬉しいです。この話だけは続き見たいのでページ残してます。これからも頑張って。 (12月10日 21時) (レス) @page10 id: c8a05a8ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しめじ | 作成日時：2023年11月26日 22時
