【１５７】・ ページ14
・
母親「！A様！先刻は、息子を助けて頂き、本当に有り難う御座いました…！」
「…いえ！真に彼を助けたのは、僕では無いので…！」
母親「しかし、医術師様をお連れになられたのは、A様でしょう？」
「それはそうだけど…」と呟く。話しかけてきた母親の後ろには、宴状態の国民が大勢いて、僕を持ち上げるように騒ぎ立てていた。僕は殆ど何もやっていないのに、大袈裟なものだ。
しかし、ここまで来ると、しんぺい神くんのような才が今まで表に出てこなかったことが不思議だな。それと同時に、彼が何処まで出来るのか興味もあるが。
母親「それにしても、医術師様は何処に？直接お礼をしたいんですけど……。」
「……それは、僕にも分からなくて……。」
母親「え！？彼は、城の医術師様では無いのですか…？」
「残念ながら…」と言うと、母親も困ったように眉を下げて、残念そうな声色でこう言った。
母親「まるで、あの医術師様は"神"のようでした……A様や幹部様と同じような………。もし、彼がこの国に尽力して下さるのなら、それ程までに心強いものはないかと…………。」
「……同感です。」
母親「…！ごめんなさい！私ったら、口走ってしまって……。」
「いいえ。民の声を聞くのも、我々の仕事ですから。それに、僕も、彼にますます"興味が湧きました"！」
彼が、この光景をみたら、"どう思うのだろう"か。どう言う経緯か、今まで、スポットライトの当たらなかった彼が、彼の知らぬところで称賛され、感謝されている。
「今度は、彼のいるところで、この称賛を。」
母親「…勿論です。きっと、あの医術師様は、世界に大きく貢献すると確信していますから。」
そう言って、僕は暫く彼女と笑いあった。
ーーーーー
・
民衆の対応も終えたところで、僕は城の中へ戻った。明日の試験に向けて、ロボロくんやシャオロンくんにでも会いに行こうかと、ひとまず監視室に向かう。
監視室に着き、扉を数回ノックする。「Aだよ」名乗ると、中から「入って」と声が聞こえてくる。扉を開け、中へ足を踏み入れてから僕は驚愕した。
「うっわ…………」
床に散らばった資料やゴミに、思わず声を溢した。比較的掃除をよくするほうのロボロくんが、ここまで汚くなるまで部屋を掃除せずいると言うことは、相当追い詰められているのか、それとも、何かに没頭していたのか。どちらにせよ、最近食事時に顔を見せない理由がわかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しめじ(プロフ) - ゆんさん» コメントありがとうございます！そして、最近更新が滞っており申し訳なく思います。しかし、完結までは必ず続けるつもりなので、それまで見てくださるととても嬉しいです…！ (12月11日 21時) (
レス) id: 095fd86269 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新嬉しいです。この話だけは続き見たいのでページ残してます。これからも頑張って。 (12月10日 21時) (レス) @page10 id: c8a05a8ee5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しめじ | 作成日時：2023年11月26日 22時
