【１５４】・ ページ11
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彼に、気づかせてしまった。そう思うと、心苦しくなり、長年感じることのなかった"同情"を感じてしまった。
「…ごめん。今更、言葉を撤回するとは言わないけど＿＿＿＿＿＿」
僕の言葉を遮るように、突然、街中から女性の叫び声が聞こえた。それは、辺りに広がり、街中がやけにザワつき始める。その中に混じる赤黒い色は、誰かが怪我を負ったことを主張している。
「誰かが血を流しているな…。それも、結構深傷を負ってる。」
sn「腹だね。内臓が傷付いている。」
「！…見なくても分かるの？」
しんぺい神くんは僕の言葉を肯定するわけでも、否定するわけでもなく、ただその場に立っていた。僕はそんな彼の手を引き、声のする方に走り出した。しんぺい神くんは、僕の行動に驚いたのか、抵抗するような声をあげた。
sn「ちょっと！」
「付いてきて！内臓が傷ついてるなら、僕や軍の医務官じゃ対処できない！」
sn「俺も対処できるとは言ってない…！」
未だに「嫌だ」という意志を表示し続ける彼に、少しムスッとした。
sn「俺はもう、人を治療することはできないんだ…！」
「それは嘘だね！」
sn「君が言い切れることやなくない！？」
「いや、言い切るさ！君は、出来ないんじゃなくて、なんらかの理由をつけ、やりたくないと言っているだけでしょ？」
先程から感じていた、彼の後悔の念。それが、強いことくらい見ればわかる。濃く、深みのある色。それはそれで綺麗だが、元の色と混じっているのが少し気になるところだ。
無理矢理手を引き、走り出して暫く経った頃、やっと現場と思われる場所に着いた。その頃には、しんぺい神くんは息を切らしており、肩を上下させていた。
兵士「A様…！」
「……！」
どうやら、先に見回りの兵士が現場へ来ていたらしく、兵士は床に1人の男性を組み敷いていた。多分、今回の事件の加害者なのだろう。そして、近くには、腹に刃物が刺さったまま、床に倒れている少年がいた。
母親「A様！息子は、助かるのでしょうか。」
「お母様ですか？安心してください、彼が、必ず助けてくれますから。」
そう言って、しんぺい神くんの方を見ると、彼は僕から目を逸らして、「無理だ」と一言言った。
「まあ、君がそこまで言うならいいけどさ……でも君に一つだけ。"失ったもの"はもう戻ってこないかもだけど、"失いたくないもの"は今からでも守れるんだよ。」
僕は少年の治療に取り掛かった
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しめじ(プロフ) - ゆんさん» コメントありがとうございます！そして、最近更新が滞っており申し訳なく思います。しかし、完結までは必ず続けるつもりなので、それまで見てくださるととても嬉しいです…！ (12月11日 21時) (
レス) id: 095fd86269 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新嬉しいです。この話だけは続き見たいのでページ残してます。これからも頑張って。 (12月10日 21時) (レス) @page10 id: c8a05a8ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しめじ | 作成日時：2023年11月26日 22時
