藤井姉妹と伶菜２ ページ28
何も言わずに
伶菜を見つめていると
「……夏恋…？どうしたの…？」
と微笑んだ。
それでも何も言わずに
真っ直ぐに伶菜を見つめて
頭を撫でる。
すると伶菜が夏恋の撫でていた手を握り
「夏恋ありがとう。大丈夫だよ？」
と切なく笑った。
暗闇でも分かるほど
目に涙をいっぱいためて言う
「大丈夫」という言葉。
それが、伶菜の精一杯の強がりだという事など
誰が見ても分かる。
「どうして……」
「…えっ？」
「…どうして、そんなに強がるの？」
「………。」
「泣きたいなら泣けばいいじゃんか。
…そんなに夏恋じゃ頼りない？
萩花の代わりにはなれないの？」
『萩花』という言葉を聞いて
我慢していた涙がとめどなく溢れ出す。
抱きしめようと伸ばした手は
再び伶菜の「大丈夫」という言葉で
行き場を失う。
伶菜の涙を拭うと、その手をそっと握られた。
「夏恋は夏恋だから…。萩花の代わりなんて言わないで？」
それから
再び伶菜が規則正しい寝息をたてるまで
手を握っていた。
いや、正しくは
『手を握る事しか出来なかった』だけ。
結局
なにも出来ていない。
伶菜の心は閉じたままだ。
悔しくて
悲しくて
でも
自分じゃ、どうしようもなくて。
寝室から静かに出て
今、1番頼りたくない相手に電話をかけた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Lee(プロフ) - glipさん» コメントありがとうございます！この２人私もめっちゃ好きです！萩花の引退悲しすぎて未だに引きづってますが…変わらずこの２人の話も書いていけたらなぁと思ってます。また良かったら読んで下さいねー！ (2018年2月13日 22時) (
レス) id: c22b2cd173 (このIDを非表示/違反報告)
glip(プロフ) - 毎回楽しみにしてます！わしゅうかめっちゃ好きです！これからも頑張ってください！ (2018年2月13日 22時) (レス) id: cb61dc1f71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lee | 作成日時：2017年12月2日 23時
