【短編集】愛、故の涙 (ページ1)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:5,706 hit

馬鹿な男ーS.S ページ1

ダンブルドアが死んだ。

否、私が殺した。

影にハリーが隠れているのはすぐに気が付いたし

その任務を与えられていたのはドラコだということも知っていた。

けれど、私が殺した。

闇の深い展望台から、

ダンブルドアの身体が抵抗なく地面に打ち付けられ

闇の印が空にはっきりと浮かび上がるのも視界に入る。

禁忌の呪いを放った杖から

指先に表現できぬ痺れがきたのは気のせいである筈がない。

隣でベラトリックスが高らかと歓喜の声を上げているのは嫌でも耳に入った。

ドラコの震える手から、ニワトコの杖をスルリと奪う

ドラコが私を見る瞳は、何か言いたげだ。

「A先生…なんで…」

何故

その言葉に続くのは、僕の任務なのに…だろうか

それとも、優しかった教授である貴方がなぜ…だろうか

私はこの子の髪を撫ぜる

『…』

ごめん、ドラコ

貴方の為じゃない。

「A、貴様…」

この男にこれ以上、命を背負わせない為

この男は色々背負いすぎるのよ

馬鹿でしょう？

何でもかんでも安請け合いして

憎まれ役を買って出て

傷ついて、もがいて、請うて

誰にも気づかれないように

愛、故に生きてる

そしてきっと、

愛、故に死ぬのでしょうね

ねぇ、セブルス？

.

.

『…我が君のもとへ』

貴方がそうなら

私は

罪、故に生き

贖罪、故に死ぬことにするわ

ねぇ、セブルス

構わないでしょう？