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刀剣女士 さんじゅうさん! ページ39

夜叉黒雪side








暗くて深い闇の中








僕は下へ下へと抗うことなく落ちていく。








ははっ…僕折れたのかな?



もっと長谷部といたかったなぁ、せっかく会えたんだから。


それにいち兄や乱みたいな兄弟も出来た…あ、五虎退泣いてないかな?




“くろ姉さん!”




最後に視界に入った五虎退の泣きそうな顔と僕を呼ぶ声が頭の中で木霊した。


ごめんね〜、僕自己満足な行動しか取れないからさ。


ほんの少しの間だったけど楽しかった。


短刀くん達と鬼ごっこして、清光と爪紅やって、三条派や鶯丸とお茶会して、皆でお弁当を作って…





そこには必ずといって良いほど長谷部がいた。





『また…会いたいなぁ』




暗い闇の中で私の声は虚しく消えていく。



その時、やっと闇の間から光が見えた。


その光はだんだんと大きな淡い紅色を帯て僕を包んだ。


眩しさに僕は目をギュッと瞑る。









次に目を開けると、そこはいつか見た古い鍛冶屋。


一人の男が必死に鉄を打っていて、その空間にはカンカンという音が響いた。




「やっと…やっと完成した!」




その手には見慣れた刀が握られていた。



ああ…思い出した。



ここは僕の生まれた鍛冶屋で、その手にあるのは紛れもない僕…夜叉黒雪だ。


ということは…必然的にこの男が僕を打った親と言うことになる。




「うん…今まで打った刀の中で一番のできだ!」




僕の刀身を撫でながら優しく微笑む彼を見て、胸の辺りが温かくなる。


そこへ小さな子供が、パタパタと足音を立てて走ってきた。


その後ろから綺麗な女の人が柔らかく微笑んで歩く。




「ちちうえ!」


「おー!幸(さち)、琴葉!見てくれ!ついに完成した!」


「!…綺麗な刀ですね、」


「きれー!!さすがちちうえですっ!」




まだ呂律の回らない幸は僕を見て楽しそうに笑っていた。


…なんだか懐かしいなぁ。


ふと、ここはいつの時代なのだろうかと疑問に思った僕は一度鍛冶屋から出て、当たりを見回した。


まだ発展も何もしていない無知な構造の家から見て…平安時代の末期辺りか…。




やっぱり僕は平安時代に生まれたんだね。




そんなことを考えながら三人を見ていると、急に目の前をまたあの闇が覆った。
 
 
 
 
 

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聖カコ(プロフ) - 作者名、確かに響きがいいですね。この作品に癒やされてます。いつも更新感謝です。 (2019年4月23日 22時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
聖カコ(プロフ) - 素直じゃない長谷部可愛い。宝箱イベ、宝箱の鍵は出ても蔵の鍵が出ない・・・ (2019年4月10日 21時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
月下(プロフ) - 長谷部の小説少ないので嬉しいです!基本的に箱推しなので、みんなの分読みたいんですよね〜。更新頑張ってください! (2019年4月4日 13時) (レス) id: 44bf1c6ca4 (このIDを非表示/違反報告)
聖カコ(プロフ) - 我、長谷部沼の住人なり・・・伽羅ちゃんも大好きですが。面白いです。更新頑張ってください! (2019年4月3日 17時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧雨柊月 | 作者ホームページ:霧雨柊月  
作成日時:2019年3月20日 20時

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