転職失敗【d!】

13万円 ページ14

”




「……これ勝手に外出ても良いのか？」


朝6時半、Aは扉の前で頭を悩ませていた
起きて30分も経つとお腹が空いてしまう性質であるため朝食を取りたいのだ

朝ごはんは取らないと寿命が減るらしいし……(豆知識)

やっぱり朝って大事！朝食べないと脳が正常に働かないしね…


…ではなく、取り敢えず怒られるのは回避したい

何をされるか分からないからである



ｸﾞｩｩｩ………


「うぅ……でも腹が減っては戦は出来ぬ………(？)」


しかし、何も聞かされていない状態からの仕事初日
何をしても「いや知らなかったので」で済む気がするような気がする


「……いいや！出ちゃえ！」


何事も実践しないと分からないっていうじゃないか！
(それで失敗したばっかり)(学習能力0)


扉を開けようとドアノブに手を伸ばした





その時、








ｼﾞﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘ!!!!!!

「！？」







扉の向こう側から火災報知器のような音が聞こえてきた
あまりの大きさに思わず両手で耳を塞ぐ

な、何事……火事でもあったの!!??

慌てて扉から離れて部屋の隅に蹲る
何が起こっているのか分からず、変わりもしない部屋をキョロキョロしながら震えていると



rbr『ん”ん”……お前らぁ!!!朝やぞ起きろぉ!!!!!』

「！ロボロさんだ……」


今度は少し乱暴なロボロさんの声が響いた
ロボロさんの言葉から考えると、これは火災報知器ではなく朝の放送？的なやつだろう


この音心臓に悪いな……なんて思いながらホッと一安心する



rbr『朝の6時半!!!今日は炭鉱や!!!朝はパンが出とるで!!!!』

rbr『あ、Aは迎えに行くから待っとてな〜』


「…はぁ………」


急に自分の名前が出てきて一瞬驚いてしまったが、始まるのだという嫌悪感で深い溜め息をついた
くそ………やっぱり2年なんて無理だ……いち早く脱出方法を探り出さないと……

火災報知器のような音が鳴り止むと、入れ替わりで低い男性の声が微かに聞こえてきた



mob『ふぁぁぁああ……夜遅く、朝早くってどういうこった……』

mob『今日は力仕事だ……昨日の細かい作業よりはマシか……』

mob『俺給料なくなる……朝飯食えねぇ……』



完全にブラック企業の会話であった
扉の向こうの廊下を歩く男性達はもうすでにこの会社に染まっているらしい

恐るべしだな……この会話が当たり前になってくる前に抜け出さなければ……

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