Rouge ２ (ページ1)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:777 hit

1 ページ1

皆が言い返していくその中で私はマイクを握りしめた。
このマイクが握ることができる限り揺るがないこの強さをもって私は生きていきたい。私が守りたい日常を守るために。
そのためなら、私は、きっとどんな力にだって手を伸ばす。
今、私はZEROじゃない。守りたいものを優先させてもいいだろうか。私の言葉をマイクに通してもいいのだろうか。

「Rouge。」

いつの間にか勘解由小路の言葉の矛先がこちらに向いていたらしい。
皆の視線も私に向いていた。
…少なくとも何の話をしていたかなんて聞ける雰囲気もなく、何も話を聴いていなかったなんて言えるわけもなく。

「……やだな。私も一緒だよ。ラップがあったから私は私でいられた。今の私を救っているのは間違いなくこのマイク。きっとこれからもそうだと思う。このマイクがある限り、人も世の中も平和に変わりないよ。」

空気を読んでこう答えたが、全部本音だった。
口角を上げる4人に、少しばかり心が軽くなる。
しかし、目の前の上司はそうではなかったようだった。

「Rouge‼貴様！」
「やだな、本当に話が通じない。貴女は少し冷静になった方がいいよ。それに言ってるでしょ？私は貴方達とは思想が違うって。だって私は言の葉党の人間じゃない。この国の平和を願う、ただの正義を追いかけるお巡りさんだからね。」

そう、日本の平和は私達が守る。己の正義をもって。私達ZEROはそうあるべき。そうだよね？降谷。
苦しんでいた時間も、罪悪感を感じていた時間も、悲しかった時間も、怒っていた時間も、嫌悪感を持っていた時間も悩んで悩んで悩んで進んでいた足を止めていた時間も全部ただの傷で終わらせる気はない。
楽しかった自分を奪ったのはそういった時間だったけど今の私をつくっているのは楽しい要素だけではない。下を向いていた時間だって今の五条Aという人間を形成しているのだ。
じぃっと勘解由小路を見詰める。

すると勘解由小路の携帯の着信音が鳴り、対応した勘解由小路は小さく舌打ちをした。それをみて思わずにっこりする私。

「それよりも、早く帰った方がいいんじゃない？貴女が崇拝する東方天乙統女が待ってるよ。」

「お前、一体何をした⁉Rouge‼」
「何もしてませんよ。強いて言うなら貴女もご存知の通り私の、否私達の存在意義ってこの日本という国を命に代えても守ることだから。この国の平和を脅かすなら誰であろうと力を奮うよ。」

同期の影響、受けすぎかな？でも今はこれが私の正義。