それでも世界は美しい～Beautiful World～ (ページ28)

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第28話～空の欠片～ページ28

Aside

この世界は美しい
だけど、どこかに醜さを隠している

この国の私のように…

『…空の欠片を持つものが近づいてきている』

空たちの言葉に私は
ハッとした

A)…空の欠片ってなに？

私の問いかけに
空はささやいた

『…君があの王様に預けた石さ』

あれのこと…
空たちはやめろと何度も私に言ったが
私はそれを聞かなかった

ということはリヴィが
こっちに向かってるのかな？

『…罠かもしれないよ？』

確かに、キトラが取り上げて
ババ様たちに渡しているかもしれない

A)…リヴィは…くる
私はそう信じるわ

私はまた新しい空の歌を歌った
この歌はきっと王様でもババ様でも知らない

秘密の歌

そしてリヴィであろうとなかろうと
欠片を持っている者がこの場にたどり着けるように
導くための歌でもある

『ガタッ…』

塔の扉の前に誰かがたどり着いた
私は決心をして塔の屋上の扉に近づく

衛兵だったら逃げられるかな？
そう思うと急に怖くなり私は屋上の扉の前で足がすくんだ

私はこっそり物陰に身を潜めて
待つことにした

だが、待っていても
誰もここに来る気配はない

私は物陰から
出て辺りを見渡した

誰もいない…
私の勘違いだったのかな

そう思い振り返った
瞬間に

『…やれ』

『グサッガザザザっ………』

一斉に放たれた矢が私の体に貫きながら
血はポタポタと流れ落ちた

矢には毒が塗ってあるのか
少しずつ私の意識を奪っていく

？)おい、殺すなよ

？)大丈夫だ、こいつは死なねえ

そう言った声がして
私の身体を男達は運び出そうとする

リヴィ…お願い
助けて…

私は心でそう願ったが
奇跡なんて…起こるはずないよね

すると、優しげな空たちの声が
耳元で聞こえた

『…A…いつも僕らのせいで
辛い思いをさせて…ごめんね』

『…Aのことは僕らが…守るから』

その声が聞こえたと同時に
私の意識はゆっくりと途絶えた

それはまるで長い眠りに
つく始まりのような

そんな気分だった