第26話〜心の叫び〜 ページ26
イラハside
さっきまで雲ひとつなかった空は
濃い霧がかかり始めていた
まるで、何かを隠すように
キトラ)こんなところにいてはお身体に障りますよ
そう言って私のもとへ来たのは
キトラだった
キトラはさっきまで
Aのいる塔に行っていたはずである
イラハ)随分と遅かったのね
キトラ)ええ、まぁ
想定外のことがありましたので
イラハ)まぁ、そうなの
あの子は…元気だった？
私は塔に幽閉されているAのことが
ずっと気がかりで仕方なかった
キトラ)はい、体調は大丈夫そうです
ただー…
そう言って顔を下に向けた
何かあったのだろうか
イラハ)ただー、なに？
教えてほしいの、お願い…
キトラ)…いえ、たいしたことではないです
何故、イラハ様はそんなにもAを
気遣うのですか？
何故…その質問に
私は戸惑った
そして、しっかりと考えて
口を開いた
イラハ)…私があの子に出来ることは
これくらいしかないからかしら
子供にとって親とは頼れる存在であり
自らの心のよりどころを与える義務があると私は考えていた
だけど、Aに私は
何も与えてあげることが出来なかった
きっと、私の体が弱くなってしまったのも
神様からの罰なのかもしれない
キトラ)あなたは十分、Aのことを思っています
では、失礼します
そう言い残しキトラは去っていった
私はその言葉に安心をしたが
いきなりこんな声が聞こえた
？)…全然足りてねぇよ
え？私が振り返ると
そこには太陽王が立っていた
イラハ)何故、あなたがここに？
私の元へ現れた太陽王は
何故か少し怒りに満ちていた
リヴィ)あんたに少し話があってな
Aを連れて帰る
誰がなんと言おうと関係ない
イラハ)何をおっしゃっているのか
私にはー
リヴィ)本当はー、自由にさせてやりたいんだろ？
私の言葉を抑えて言った
太陽王の言葉に私は自分の本音を刺されたような気持ちになった
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作者名：神姫 | 作成日時：2017年12月4日 1時
