第16話〜思い出の塔〜 ページ16
リヴィウスside
ニケは俯きながら
俺に伝えた
ニケ)…私じゃないんだ
この国を救ったの。本当はAなんだ
そして今、公国で雨が消えてしまって
何度読んでも雲たちが反応しないみたいなんだ
このままじゃみんなが…
ニケは必死なのだろう
俺は混乱しながら話すニケを抱きしめて言った
リヴィ)わかった、俺も急いでAを
探すように手配させる
ニケ、泣くな、大丈夫だから
きっと、国に残してきた家族や民たちが心配なのだろう
だけど、俺はこの時何も気づいてなかった
自分たちのことばかり気にして
Aも一人の人間であり心があるということを
俺はとにかく、ニールを呼び
Aを探すように伝えた
ニール)…陛下
私、こればかりは致せません
ですが、この鍵の場所へ行けば
何とかなるかもしれません
そう言ってある鍵を
手渡してまた、仕事へ戻ってしまった
なんなんだ、あの態度は
俺はイライラしながら鍵を手に取って見た
これはー、俺は目を見開いたまま
部屋を飛び出し城を出た
そしてたどり着いた場所は
幼き俺とシーラが暮らしていた塔であった
この鍵ここにものだ
俺は小さい時から忘れていなかった
『ギィィっ……』
錆びれた重たい門を開けて
塔の中へ入ると
かなりホコリっぽく
何年も人が立ち入っていないことがよくわかる
ここに何の手がかりがあるのか
俺は恐る恐る
だが懐かしいこの塔の中へ足を踏み入れた
たくさんの思い出がこの塔には
詰まっている
この塔だけ時間が止まっている
俺の中でもきっとまだシーラを忘れることが出来ない自分がいるのだろう
『…゜:。* ゜.゜:。* ゜.♪♪』
塔の上から歌が聞こえた
これは、シーラの子守唄
Aはここにいる
俺はそう確信した
俺は急いで声のする方へ走った
塔の一番上で歌うAはまるで天使のように美しく
そして儚く見えた
リヴィウス)A！！
俺は大きな声でAを呼ぶと
A)え！？あ、…
急に呼んで驚いたのかそのまま
手を滑らせてこちらに落ちてきた
リヴィウス)え！？
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作者名：神姫 | 作成日時：2017年12月4日 1時
