♯002 運命 ページ2
色人side
『いただきます』
食事の時の何気ない挨拶は命をもらうという意味で使うという
誰に対してかって？
それは勿論、命を貰った動物に対してじゃないかな
まぁ、俺の場合は
それが『人間』だったということ
色人)おはよ〜、A♪
あれ、いないな、どこに行っちゃったんだろ
『…♪♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜』
どこかの部屋から
綺麗なピアノの音色がする
朝からすごく心地いい気分になる
俺は１階のある部屋から音がするのに気づいた
色人)A♪
おはよう！
『！！…｡・:＋°｡・:＋°｡・:＋°｡・:＋°｡・:＋°』
あれ、俺の声が聞こえないのかな？
色人)だーれだ！！
そう言って俺はAに目隠しをした
『…♪｡・:＋°♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜』
え、嘘
目隠しをしても、Aの手は止まることは無かった
俺は急いで、Aの顔を覗きこみ
声をかけた
色人)A！！
A)ん？あれ、色人
いつのまに…
とぼけてるのかな？
でもそれにしても、不思議だった
まるで、何かに取り憑かれたように
ピアノを弾き続けていたから
色人)なんの曲を弾いてたの？
俺は軽く、そういった質問をすると
A)…レクイエム、死んだ人に送る歌
Aはポツリとその言葉を口にした
そっか、俺が殺しちゃったから
色人)ごめん…
俺はAに
申し訳なくなり、うつむいた
『！！♪♪♪｡・:＋°｡・:＋°｡・:＋°』
すると、Aはまたピアノを弾き始めた
あれ、これは俺でも知ってる
ベートーヴェン…第五番第一楽章『運命』
その曲を力強く演奏した
A)謝らなくていいよ
私はあなたを否定しない、全部、運命だと思ってる
その言葉に俺はとても強く胸を締め付けられた
色人)A！俺、朝ごはんの準備してくる
そう言い訳をして
部屋を出た
運命か…その言葉に
俺はすごく嬉しかった
初めて、誰かに必要とされた
そんな気がした
よし、この気持ちを
力に変えるぞ
そう思い、キッチンに向かった
だけど、Aの演奏が続いていることに
俺は気づいてすらなかった
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作者名：神姫 | 作成日時：2019年6月11日 8時
