【覆面系ノイズ】【杠 花奏】君の声は僕のもの 2nd

♭070 思い出の楽譜 ページ22

ユズside






楽譜を見せられて
僕は胸が苦しくなった









Aは僕を忘れても
大切な歌だけは覚えていてくれたこと









だけど、それが僕だって証明することは
出来ないし、そうすれば
またAの声を奪ってしまう









想いを伝えれば、声を失い
伝わえなかったら、この恋は実らない









だが、僕一人の恋なんて
世界中の人達から支持されているAと
天秤にかけたら軽すぎて
かける対象にもならない気がする









A)おーい！ユズ！
大丈夫？









気がつくとAの顔は僕の目の前にあった









ユズ)え、あ、ごめん
聞いてなかった









A)すごく、ぼーっとしてたよ
疲れてるんだね
今日は帰るね









Aはそう言ってカバンを持ち
部屋を出ていこうとする









引き止めなくていいのか？
もう会えないかもしれないのに









ユズ)ね、ねぇ









僕はとっさに声を出して
Aを引き止めた









A)ん？どうしたの？









何もなかったような顔で
振り返る君は、きっと今までの事を覚えていない
別人なのだろう









なら、このまま
何も知らないまま友達になって終わればいい









ユズ)今日はありがと
それとその楽譜、書いた人を僕は知ってるよ









思い出の楽譜、僕が書いたんだよ
そう伝える勇気はない









A)え、ほんとに？
その人は今どこに？









食いつくAに
僕はすました振りをしながら









ユズ)それはわからないけど、僕もその人を
見つけるために協力するよ
これ、拾ってもらったお礼









そう言って僕は生徒手帳を
見せた









A)え、ほんとに？
じゃあさー









すると、Aの携帯が
鳴り出した









A)ごめん、出ていい？









ユズ)いいよ









A)もしもし？あ、モモ？
うん、すぐ行くね









そう言ってAは電話を切って
僕に言った









A)ごめん！用事出来ちゃった
また連絡するね、これ私の電話番号
じゃあね









そう言い残すと
Aは僕の部屋から姿を消した









もう、何をやってんだよ
僕はそう思いベットに寝転んで目を閉じた

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←♭069 君と僕は…

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す