3話 過去編 ページ3
｢おかーしゃん、おはよう...｣
寝起きのAは、眠気を覚ますように目をこする。
ここはライト・スティア。一日中光で照らされている、別名光の国。
そんなところに、グリダーン家は住んでいた。
余り争いはなく、あるとすれば時々襲撃してくる魔王の軍隊。
だがライト・スティアには数多くの勇者が居る。
ライト・スティアの住民は勇者を含め1200人程度。
フィア・スティアの住民は勇者を含め7万人程度。
ダーク・スティアの住民は500人程度。
ダーク・スティアには勇者が居ない。
その理由は、光のある国でしか掘れない、“ライト・クリスタル”が無いからだ。
そして、ライト・クリスタルはダーク・スティアの中ではダーク・スティアの勇者にしか扱えないのだが、ライト・クリスタルがまず無いので勇者が誰なのかも分からない。そして勇者は居ないということになっている。
ダーク・スティアには、“ダーク・クリスタル”というものが存在する。
主に魔法使いなどが魔力を貯めておく為に使うらしい。
｢あら、A。おはよう。今日は早かったわね、偉いわ。｣
ぽんぽんとAの頭を軽く叩き、褒めるのは母のテイラス。
優しいAの自慢の母だ。
｢うぅぐ...おはよう、テイラス。｣
小さく唸りながら歩いてきたのは、父のソラデム。
｢おはよう、ソラデム。そうだ、確か今日は、魔王の軍隊が攻めてくる日だったわね..近くに来なければ良いのだけど。｣
テイラスは不安そうにAとカレナを見る。
｢そうだなぁ...。この子達もまだ幼いし、怖い思いはさせたくないしな...｣
ゴーン...ゴーン...
鐘の音がなる。
その音を聞き、Aは不安そうな顔をする。
｢おかーしゃん、わるいのいっぱいくる？｣
｢いえ、大丈夫よ、ここには来ないわ。絶対。｣
｢うん...｣
刹那。
バキッ
木製の扉が壊れ、鎧を着た魔物達が家に入ってきた。
｢ひっ...やだやだやだっ！おかあさんっ！！｣
魔物達はテイラスを捕まえ、何かをテイラスの口の中に入れた。
｢っ！？...ゲホッゲホッ、っあ"...！？｣
するとテイラスは吐血し、床に力無く倒れた。
｢実験だ。｣
それだけ言って、魔物達は扉を魔法で元に戻し帰っていく。
｢テイラス！大丈夫か！？｣
床には血が飛び散っていた。
それも、異常な程。
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作者名：春雪 | 作成日時：2017年5月11日 18時
