八話 ページ9
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「兄さん、あの、髪の毛を櫛で梳いて欲しいんですけど…」
今日は出陣らしいので、軍服に着替えている所に五虎退が櫛を持ってやって来た。
ネクタイを結び、膝をトントンと手で叩くとにこにこ笑ってそこに座る。
「すごい寝癖…ちゃんと乾かした？」
「昨日は眠くて…」
「それのせいだよ」
ぴょんぴょんと跳ねる白い毛を、丁寧に櫛で梳いていく。
すると、また一人弟が来た。
「あ、あの…恐れ多いのですが僕も手伝ってくれませんか？兄さん」
前田がぐちゃぐちゃになったネクタイを握りしめて、その後ろから顔を出した平野のネクタイもくるくると曲がっていた。
はあ、と一つため息をついて自分の隣を指差す。
「ここで座って待ってて。」
ぱあっと表情を明るくした二人が仲良く座るのを見て少しだけ笑ってしまう。
粟田口は、兄弟が多い。
一番上が太刀の一兄だとすれば、その下は脇差の骨喰兄さんと鯰尾兄さん。
他は短刀になるのだが、その中にも順番のようなものはある。
兄貴分が薬研、厚、乱、後藤だとすれば
弟分になるのはその他の短刀だ。
その弟分の中で一番上なのが僕。その下が博多。主に弟たちは僕たち二人に頼ってくることが多い。
でも、もう一人僕たちのことをよく見てくれる人がいる。
「ねぇ、今日叔父さんは？」
五虎退の髪が整い終わって、次は平野が僕と向かい合って座る。
そう問うと、平野は首を傾けた。
「遠征隊ではないでしょうか… なんでも、一日まるまるかかるらしいので、もう発ったと思います。」
「ああ、そうなんだ」
「僕たちも、鳴叔父様を探したのですが何処にもいらっしゃらなかったので…」
叔父さんのお付きである狐は僕たちとよく遊んでくれるから好きだ。
平野と前田のネクタイを結び終えたところで鐘が鳴った。
正門の前には短刀と脇差を中心として組まれた第一部隊が待機しているところだ。隊長は厚。
「夜戦になるからな！呉々も離れないようにしろよ！」
はーいなんて間延びした返事と共に門が開く。
久々の出陣だと思うと、血が騒いだ。
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音琥(プロフ) - すごい感動しました・・・！僕（僕ッ娘です)も薬研の小説を書いてるんですがちょっとまだ設定が不安定で（） こうやってお話ができあがってるの、すごいなと思いました（） 尊敬してます。薬研の作品・・・Tauさんのが一番好きです笑 (2019年8月24日 9時) (
レス) id: 13c9a9eef6 (このIDを非表示/違反報告)
Tau(プロフ) - 霊界堂銀さん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありません…コメントありがとうございます。泣いて下さるなんて… 薬研の寝たふりの場面は、重要な場面だったので頑張って書いた甲斐があります。最後までお付き合いありがとうございました！ (2017年8月19日 21時) (レス) id: e144e48524 (このIDを非表示/違反報告)
霊界堂銀(プロフ) - すごい勢いで泣きました。もう薬研のねたふりのところがヤバかったです！これからもがんばってください！応援しています！ (2017年7月15日 18時) (レス) id: 3572e18a01 (このIDを非表示/違反報告)
Tau(プロフ) - まるさん＠地球領さん» 初めまして、コメントの返信が遅れてしまい申し訳有りません… 本当ですか！感動を与えられるような小説が書けて良かったです。もし気に入っていただけたのなら、また読み返して見て欲しいです^ ^ 最後までお付き合いありがとうございました (2017年4月30日 21時) (レス) id: 94fb074fe3 (このIDを非表示/違反報告)
まるさん＠地球領(プロフ) - この作品で、刀剣乱舞の小説で初めて泣きました…！感動的なお話、有難うございました、！(＠⌒ー⌒＠ (2017年2月9日 13時) (レス) id: 16bde0c68d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Tau | 作成日時：2015年12月5日 1時
