三十一話 ページ33
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日が昇り、あたりが完全に朝の光に包まれる。
やばいな、このままじゃ。今日は出入りが多いんだっけ。僕だって非番じゃない、早くどこか隠れないと、この状態で動けるわけが…
僅かに腰をあげる。
すると、案外身体は丈夫らしい。熱は消えないが腰はしっかりしている。それを確認して、離れから直ぐに去った。
本丸に帰ると、今剣が「夜な夜なおさんぽですか！？」と叱ってきたが軽くあしらって、当番表を見に行く。
「おや、珍しいですね、早起きなんて」
外に立ってある掲示板の前には、まだ眠そうな宗三がいた。欠伸をしながら軽く礼をされる。
「そんなに早くもないだろ」
「僕はまだ寝ていたいですが…それにしてもこの当番は誰が決めたんでしょう。僕をまた畑仕事に回すなんて。」
手が荒れます。そう言いながら唇を少しだけとがらせる宗三は、見た目と違って少し幼い一面もある。
その宗三は畑当番。長谷部とだ。逃げられそうにもないな。
「…葉月は手合わせですね。相手は…」
宗三は僕の分も探してくれていたらしい。
するりと白い指が下に沿わされ、其処にはしっかり�猝�研藤四郎�瓩箸い�札がかけられてある。
目を瞠った。まさか、今当たるなんて…
息が詰まった。まずい。まずい。
(なんでよりにもよって…！)
奥歯を噛みしめる僕に気づかぬ宗三は「薬研も忙しいですね…」と振袖で口元を隠した。
「宗三、畑当番、変わってやろうか」
小声でそう問うと、答えたのは宗三ではなく
「…おい、与えられた当番を全うしろ。今日お前は薬研と手合わせだ。」
「っ、長谷部！」
「残念、見つかってしまいましたね」
僕の背後から影が伸び、鬼の顔をした長谷部にペシンと頭を叩かれた。
そして思い出す。長谷部は一日の内番を決めているんだ。だとすれば、計算か？タチの悪いことをしてくれる。
「なぁ、変えてくれよ、長谷部」
ぎこちない笑みを見せれば、眉間のシワを深くした長谷部に睨みつけられ、そのまま無視される。
「いいじゃないですか、兄弟で手合わせ。」
では、と横をすり抜ける宗三の背中を見ながら、悶々とどうバレずにやり過ごすかを考えた。
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音琥(プロフ) - すごい感動しました・・・！僕（僕ッ娘です)も薬研の小説を書いてるんですがちょっとまだ設定が不安定で（） こうやってお話ができあがってるの、すごいなと思いました（） 尊敬してます。薬研の作品・・・Tauさんのが一番好きです笑 (2019年8月24日 9時) (
レス) id: 13c9a9eef6 (このIDを非表示/違反報告)
Tau(プロフ) - 霊界堂銀さん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありません…コメントありがとうございます。泣いて下さるなんて… 薬研の寝たふりの場面は、重要な場面だったので頑張って書いた甲斐があります。最後までお付き合いありがとうございました！ (2017年8月19日 21時) (レス) id: e144e48524 (このIDを非表示/違反報告)
霊界堂銀(プロフ) - すごい勢いで泣きました。もう薬研のねたふりのところがヤバかったです！これからもがんばってください！応援しています！ (2017年7月15日 18時) (レス) id: 3572e18a01 (このIDを非表示/違反報告)
Tau(プロフ) - まるさん＠地球領さん» 初めまして、コメントの返信が遅れてしまい申し訳有りません… 本当ですか！感動を与えられるような小説が書けて良かったです。もし気に入っていただけたのなら、また読み返して見て欲しいです^ ^ 最後までお付き合いありがとうございました (2017年4月30日 21時) (レス) id: 94fb074fe3 (このIDを非表示/違反報告)
まるさん＠地球領(プロフ) - この作品で、刀剣乱舞の小説で初めて泣きました…！感動的なお話、有難うございました、！(＠⌒ー⌒＠ (2017年2月9日 13時) (レス) id: 16bde0c68d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Tau | 作成日時：2015年12月5日 1時
