十三話 ページ14
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あらかた片付けた。
背中合わせで戦っていた後藤が疲れたなんだと喚き、乱は敵に少しだけ切られた髪を気にして、厚がまだ神経を尖らせて親玉を探していた。
ーーー 葉月だけが、いない
それは薄々全員が気づいているようだが、この霧と暗闇の中で逸れたとなれば見つけ出すのはかなり厳しい。
「なあ厚。骨喰と鯰尾の兄貴は先に後衛のやつら見に行ったんだよな」
「あ、ああ…そうだな」
「……平野と前田と博多は後衛にいる。秋田はさっき本丸から迎えを送るって伝達があった。」
「お前さ、葉月…見た？」
「いや、俺っちは見てねぇ」
「乱は？」
「僕と後藤は先に索敵にまわったからね…葉月は後衛の中じゃないのかな」
「俺も見てねぇな。てっきりお前らと一緒にいるとばかりおもってたんだけど。」
やっぱりおかしい。
確かに逆行軍で進んできた。霧に視界を邪魔されるまでは背後に気配も確認できた。
どこで、逸れた。
(こんだけ殺ってきて、親玉が隠れてやがるのも引っかかる)
「妙だな。血腥さが増した。」
ぼそりと後藤が暗い霧の中を見据えながら呟く。
確かに、そうだ。さっきまで吹き抜けていた風が少しずつ血の臭いを含んでくる。
吹き抜けてくるのは、俺たちが進んできた方向からだ。
「乱と後藤は先に本丸に戻って大将に報告したくれ。俺と薬研で葉月探し出す。どうしても見つからなかったら…その時は伝達おくる。」
「了解した！」
「気をつけてね」
後藤と乱が霧に入って行ったのを確認し、厚と俺は来た道を駆け抜けた。
時間がない。もし、もしもあいつ一人が。
「変なこと考えんなよ薬研！あいつだって強ぇんだ。大丈夫だって。」
先を駆ける厚がそう言って少しだけ笑った。
ああ、そうだよな。あいつは俺っちよりも先にここに来て、兄弟が揃うのをずっと待ってたんだもんな。
「早く見つけて三人で帰ろうや」
「おうよ！」
ーー厚、お前だって嫌なこと考えてる癖に
それは喉の奥で封じ込んで置いて、口を噤んだ。
霧が晴れて月が黒く市内の影を落とす。
血腥さが増して行くのを感じ、眉を顰めた。
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音琥(プロフ) - すごい感動しました・・・！僕（僕ッ娘です)も薬研の小説を書いてるんですがちょっとまだ設定が不安定で（） こうやってお話ができあがってるの、すごいなと思いました（） 尊敬してます。薬研の作品・・・Tauさんのが一番好きです笑 (2019年8月24日 9時) (
レス) id: 13c9a9eef6 (このIDを非表示/違反報告)
Tau(プロフ) - 霊界堂銀さん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありません…コメントありがとうございます。泣いて下さるなんて… 薬研の寝たふりの場面は、重要な場面だったので頑張って書いた甲斐があります。最後までお付き合いありがとうございました！ (2017年8月19日 21時) (レス) id: e144e48524 (このIDを非表示/違反報告)
霊界堂銀(プロフ) - すごい勢いで泣きました。もう薬研のねたふりのところがヤバかったです！これからもがんばってください！応援しています！ (2017年7月15日 18時) (レス) id: 3572e18a01 (このIDを非表示/違反報告)
Tau(プロフ) - まるさん＠地球領さん» 初めまして、コメントの返信が遅れてしまい申し訳有りません… 本当ですか！感動を与えられるような小説が書けて良かったです。もし気に入っていただけたのなら、また読み返して見て欲しいです^ ^ 最後までお付き合いありがとうございました (2017年4月30日 21時) (レス) id: 94fb074fe3 (このIDを非表示/違反報告)
まるさん＠地球領(プロフ) - この作品で、刀剣乱舞の小説で初めて泣きました…！感動的なお話、有難うございました、！(＠⌒ー⌒＠ (2017年2月9日 13時) (レス) id: 16bde0c68d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Tau | 作成日時：2015年12月5日 1時
