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ページ10

「イブくん、同じバイト先の先輩なの。」
「あのカフェの?」
「そう。」
「…異能者?」
「違ぇよ。普通の人間な。」
「ふぅん、そう。」

 ローレンが突発的にイブくんにそう尋ねたのは、きっと私が彼のことを名前で呼んでいるから。

 彼が他人の名前呼びに対し異能の有無を確認する行為は、私がどうして他人を苗字で呼ぶことを徹底しているのかが関わってくる。端的に言えば私は他の異能者と比較して異能量が爆発的に多く、詠唱を使わなくても異能が暴発することがある。そしてまた、私の言葉で相手を動かす場合にその効力をより強くするためには「相手との仲が親密である」ということが関わるのだ。

 昔から関係のあるローレンは、彼の異能を最大限に引き出すために名前呼びを強制されていたし、晴やガクは異能と名前呼びとの関係が明確になるより前にもう名前で呼んでいたため呼び方を変更するのが今更だとなり名前呼びは今でも継続しているというわけだ。それに私も昔に比べて異能をちゃんと制御できるようになったし、そう滅多に異能が突然暴発するなんてこともなくなったわけだけど。

 異能の暴発がなくなったとはいえ、保険を掛けておくに越したことはない。だから私は常に他人と距離を保ち、絶対に名前では呼ばないようにしているのだ。

 そして私の異能がより強く効果を持つのは、体質がより本能に近い者。つまり、少し前の話に遡るが私が炎の鳥と対峙した際に、鳥が私の言うことを素直に聞いたのはその鳥の「本能」が強かったから。だから私の周囲の人たちで現段階での私の異能の効きやすさを並べるとすると、一番が吸血鬼との混血である会長や人じゃないガク、次いで生徒会メンバー等の異能者、そして異能を持たないイブくんや緋八くんたち、という順番になる。

 これらすべての理由を知るローレンだからイブくんが異能者であるかどうかの確認を取ったのだろう。非異能者に対しては流石に詠唱しないと効果はないはずだし。それくらいの調節は出来ている、と思いたい。

 まあ、どれだけこっちが用心してたってイコールそれが信用に足りることとは限らないけど。

「ローレン顔怖すぎ、やめて。」
「ごめん。」
「ごめんねイブくん。」
「いや、大丈夫。ローレンね、覚えたわ。」

 笑い声交じり、後ろのローレンを見ながら言ったイブくんはもうそろそろ行かないととカゴにいくつか卵のパックを入れてひらりと手を振り行ってしまった。

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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます!自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします! (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい!小説家になれると思いますっ!更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます!誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました! (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるた。 | 作成日時:2024年1月6日 22時

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